車のドアを開けたら隣の車にぶつけたと連絡きたらどうする?

賃貸物件では「車のドアをぶつけた」または「ぶつけられている」といった、アパートなどの駐車場内トラブルもよくあることです。

こんなとき、住人からそのような連絡がきた場合、大家さんは、どのように対応すれば良いのでしょうか。

また、こうしたトラブルを防止する対策方法をご紹介します。

車のドアをぶつけたなどの責任は誰が負う?

アパートやマンションなどの共同住宅においては、駐車場トラブルも少なくはありません。

内容としては、住人が車をぶつけられた被害者の場合と、車のドアなどをぶつけた側の加害者の場合があります。

また、駐車場内の設備不良や駐車場使用権をめぐる問題など、駐車場トラブルといっても、さまざまな問題が起こる可能性があるのです。

まず、住人から被害の連絡があった場合から、お伝えします。

アパートの駐車場内トラブルの内容は、入居者同士のトラブル・車上荒らし・イタズラなどが挙がります。

相手が判明していれば、経緯が明確ですが、問題は相手が分からない場合です。

その場合、怒りの矛先は大家さんに向いてしまい、「管理しているアパートで被害に遭ったのだから弁償してほしい」などと主張されかねません。

このとき、大家さんは弁償義務はあるのでしょうか。

通常であれば、契約書のなかにある駐車場使用規則で、「駐車場で起きたトラブルについては責任を負いません」と免責事項を定めているはずです。

また、「管理不足だから」との声もありますが、アパートの駐車場使用契約は、使用料の支払いによって車を駐車する権利を付与しているだけです。

そのため、駐車場内でトラブル遭わないように、常時監視する義務は、大家さんにはありません。

車にぶつけた跡!大家さんはどう対応する?

駐車場内で起きたトラブルは、管理対象外と契約書に書かれていても、住人から大家さんに連絡があるかもしれません。

なかには、ぶつけられたことで、感情的になって電話をしてくる人もいるかもしれません。

大切にしている車にぶつけた跡があったら、誰しも良い気持ちはしませんよね。

被害に遭った人から連絡があった場合は、そうした気持ちを汲み取りながら、怒りを鎮めつつ、冷静に対処するようにしましょう。

被害者の人が落ち着いてきたら、警察に連絡するように伝えます。

住人は、駆け付けた警察官に被害に遭った状況を説明し、被害届を提出することができます。

大家さんができることとすれば、被害内容を聞き、アパートの駐車場内で車をぶつけられた被害があったことを、他の住人に知らせることです。

知らせることで、同じ被害に遭わないように気を付けてもらえます。

また、思わぬ目撃者が、住人のなかにいるかもしれません。

また、車のドアを開け閉めするときも、隣の車にぶつけないように気をつけようと思う、きっかけにもなるのではないでしょうか。

ぶつけた相手を特定するのは警察の仕事

アパートに監視カメラが設置されている場合、被害に遭った瞬間が記録されている可能性もあります。

そのため、被害者の住人から「映像を見たい」と申し出があるかもしれません。

しかし、こうした監視カメラには、たくさんの情報も映り込んでいるため、個人のプライバシー損害にあたります。

大家さんからしたら、協力をしたいところですが、監視カメラの確認はお断りしましょう。

車のドアを開けるときなど、「隣の車にぶつけてしまったかもしれないので確認したい」といった、加害者側の要求も受けられません。

ぶつけた側の車を特定することは、警察の仕事です。

住人が警察に被害届を提出し、警察から監視カメラの確認依頼があったときに見せましょう。

また、大家さんは監視カメラの操作方法を警察に伝えるだけで、映像の確認や、相手方の特定は警察が行います。

録画データが保存されたSDカードなどがある場合は、警察に提供する場合もありますので、覚えておきましょう。

駐車場を監視する防犯カメラの設置は住人の同意を得てから

アパートの住人同士で車のドアをぶつけたなどの場合、相手方が判明しているのであれば、解決に向かいます。

しかし、冒頭でお話したように、車上荒らしや、イタズラによるものもあります。

こうした犯罪は常習性が高く、度重なる場合は、大家さんも何か手だてを考えなければならないかもしれません。

場合によっては、防犯灯や監視カメラの設置なども、視野に入れてみましょう。

防犯カメラは犯罪を防止し、発見する目的として設置するものです。

住人の安全を守るためには有効と言えますが、その一方で、住人の肖像権やプライバシーの権利を侵害することにも値します。

いくら安全のためとはいっても、無差別に撮影されることに、快く思わない住人もいるかもしれません。

どんな理由で、どこに設置するのか。

撮影した映像の管理は、どのようにしていくかなど、契約者全員と話し合いをしましょう。

そして、「防犯カメラの設置は居住者の利益のため」と、住人全員からの同意を得てから設置しましょう。

車のドアを開けるときに隣の車にぶつけてしまった側の対応

次に、アパートの駐車場内で「他の車にぶつけてしまった」との連絡があった場合です。

特に多いのが車を乗り降りする際、車のドアが隣の車に当たってしまうといったトラブルです。

よっぽど非常識な人でない限り、ぶつけたままにしておけませんよね。

同じアパートに住む住人でしたら、なおさらです。

「ぶつけてしまった」と大家さんに連絡してくる住人もいらっしゃいますが、やはり駐車場内における責任は、大家さんにはないので、何もできません。

「相手に謝罪と修理代を渡したいので、相手方の連絡先を教えてください」との連絡も多々あるでしょう。

しかし、相手側の確認もしないで、連絡先を教えることは、当然ながらできません。

ぶつけられた側の連絡は、大家さんや管理会社が行い、状況を伝えます。

もしここで、被害者側が「連絡先を教えても構わない」というのであれば、加害者側に伝えて、当事者同士で話し合ってもらいましょう。

話し合いも、大家さんや管理会社は入れません。

保険会社を通しての話し合いになることでしょう。

車のドアがぶつかりにくい環境作り

駐車場内のトラブルは負わないとはいえ、駐車場の環境を見直すことも大切です。

例えば、駐車場の白線です。

白線が消えかかっていたり、そもそも白線を引いていないと、どうでしょうか。

隣の車との境目が分かりづらく、先に停めた車の場所次第では、後に停める車が停めづらくなってしまいます。

すると、車をぶつけてしまうリスクも増えますよね。

もちろん、業者に依頼して白線を引いてもらうのも良いですが、道路線引き用塗料を使えば、大家さんでもできます。

事前に駐車場の白線を引くことを住人に伝えて、当日は住人の車が停められる臨時駐車場を確保しておきましょう。

●駐車場の白線を引く

【用意するもの】

・ポールやコーン
・チョーク
・チョークリール
・マスキングテープ
・道路線引き用塗料
・ローラーバケツ
・ローラー

①作業中、立ち入らないように、ポールやコーンを立てておきます。

②両端2ヶ所に白線を引く場所を決めて(白線の太さも)、チョークで印をつけます。

この印と印を繋ぐようにして、チョークリールで線を引いていきましょう。

③塗料を塗るときに、はみ出さないように、線の外側にマスキングテープを貼っていきます。

④道路線引き用塗料の蓋を開けて、よく混ぜます。

ローラーバケツに塗料を出したら、ローラーで塗っていきましょう。

塗料が乾く前に、マスキングテープを剥がしてください。

⑤塗料が乾けば完了です。

駐車場内の敷地に余裕があるようなら、白線をU字タイプにすることをおすすめします。

直線に引いた白線に比べてU字タイプは、Uの間にドアスペースが生まれます。

「車のドアをぶつけた」といったトラブルも起こりにくく、住人が利用しやすい駐車場に変わるはずです。

介入はできないが対策することは大切

賃貸物件で、駐車場トラブルは付きものです。

しかし、大家さんが対応を間違えてしまうと、住人同士が気まずくなり、退去することも考えられます。

大家さんは駐車場のトラブルに介入することができませんが、事前に対策を練ることは可能です。

その際は、住人の同意を得てから行いましょう。