ここ数年大阪の中古物件、特にマンションの価格が上昇傾向にあります。
いざ、大阪でマンション購入を検討し、価格を見たときに驚かれた方もおられるのではないでしょうか?
今回は、価格が上昇し続けている要因と今後の展望を、不動産実務10年以上の経験からお伝えします。
新築・中古物件ともマンション価格に大きな転機が訪れた2012年
マンションを含む不動産の価格は、バブル景気の崩壊以降下落の一途を辿っていました。
いざなみ景気(2002年~2007年)と呼ばれる好景気期間の後半、2006年~2007年にかけて不動産価格が上昇の兆しを見せましたが、リーマンショックで再び下落します。
不動産営業の仕事をしていた私自身、「不動産は時間とともに価格は下がるもの」「中古物件価格は新築時よりさがるもの」だと思い込んでいました。
このデフレ時代は、3000万円台で大阪の都心部「大阪・梅田駅徒歩圏内」で新築タワーマンションが購入できました。
今では考えられないような低価格です。
そのようなデフレ基調にストップがかかり、マンション価格上昇のターニングポイントとなったのが、2012年の民主党から自民党の政権交代、安倍政権による経済成長戦略「アベノミクス」です。
アベノミクスによるマンション価格上昇の要因
では、何故「アベノミクス」によってマンションの価格が上昇したのでしょうか。
大胆な経済政策として注目された「アベノミクス」は
・インフレ目標の設定
・円高是正
・大胆な金融緩和
・東日本大震災復興対策も含めた大規模な公共事業
が大きな柱になっています。
実はこの全ての政策がマンション価格の上昇に直結します。
大胆な金融緩和により、日本市場に多額の資金が供給され日本経済の活性化が期待されました。
その資金によって、株や不動産などの現物資産への購買が活発化された結果、新築物件・中古物件問わず、マンション価格の上昇が始まります。
価格の上昇は東京や大阪といった大都市圏で顕著となりました。
日本銀行が、インフレ率2パーセント上昇を掲げていますので、物価が上昇すればマンション価格も当然上昇する事になります。
また急激な円安進行(1ドル80円程だった為替相場が120円程まで円安進行)により建築資材コストも高騰しました。
この影響により新築物件の価格が上昇すると、近隣相場の取引事例から価格を算出する中古物件の相場も上昇し、結果的に中古マンションの価格も高くなります。
大阪の中古マンションはどれくらい価格が上昇したのか?
では、実際にどれくらい価格が上昇したのでしょうか?
ある不動調査データ「中古物件のマンション平均成約価格」より算出すると以下のようになります。
【近畿圏】2012年→2018年(約1.2倍)
【大阪市】2012年→2018年(約1.4倍)
【大阪市中心六区】2012年→2018年(約1.5倍)
※中心六区(福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区)
大阪市内の中心部に近づく程価格上昇率が高いイメージです。
外国人観光客が激増した事による商業施設やホテルの出店意欲の高まりも、大阪の不動産価格を上昇させた要因だと言えるでしょう。
中心六区の関しては約1.5倍の価格上昇率になっているので、単純計算ですが、2012年に3000万円だったマンションが2018年では4500万円に上昇した事になります。
そのため、マンション購入を検討していた人達にとっては結果的に買い時を逃した形となりました。
大阪で新築・中古物件問わず人気エリア
一口に「大阪」といっても、いくつかのエリアがあります。
大阪府の場合、府北部の北摂エリア・中心の大阪市内・東大阪エリア・府南部の泉州エリア・府南西部の泉州エリアに区分されます。
大阪市の場合は市内には24区ありますが、地理的な区分と経済圏としての区分があります。
経済圏としては大阪駅・梅田駅を中心とするキタと呼ばれているエリアと、難波駅を中心とするミナミと呼ばれるエリアに区分されます。
ただ、キタの中心である梅田とミナミの中心である難波は、地下鉄で4駅しか離れていません。
そのため、キタ・ミナミとその双方のエリアに隣接する区(福島区、西区、天王寺区、浪速区、北区、中央区)を中心6区として区分することがあります。
新築・中古物件問わず、人気エリアとして大阪のマンション価格上昇をけん引しているのが、住環境と大阪市内へのアクセスが便利な北摂エリアと大阪市内、取り分け都心回帰現象により住宅地としての注目を集めている中心6区です。
大阪での中古物件購入に適したエリア
上記の人気エリア(北摂エリア・大阪市中心6区)は中古物件の相場も非常に高い傾向にあり、一般会社員の方が住宅ローンを組んで購入するには予算オーバーの物件が多くなると思います。
築古物件だと価格は安くなりますが、建物の耐用年数を考慮するとお勧めはできません。
そのような状況の中で、穴場という表現が適しているのか分かりませんが、比較的求めやすい価格で利便性が高く中古物件購入に適したエリアが大阪市淀川区です。
先ほど大阪市の経済圏はキタとミナミに区分されるとお伝えしましたが、JR大阪駅・阪急・阪神・地下鉄等交通機関が集約している上、大規模な駅前再開発もあり大阪市の実質的にはキタが大阪市の中心地となっています。
大阪でマンションを購入する際に利便性と資産性を考慮すると、「梅田までのアクセスのよさ」は非常に大きな魅力になります。
そして大阪市淀川区は中心6区からは外れているものの、梅田のある北区とは淀川を挟んで隣接しており淀川区内にある全ての駅(阪急・地下鉄・JR)から梅田までアクセスは抜群で、集合住宅が多く中古マンションも豊富にあります。
新幹線の新大阪駅も淀川区にあり今後の継続的な発展も見込まれます
。
梅田までのアクセスが抜群の割には中心6区よりも物件価格は割安な傾向にあるので、大阪でマンションを検討する際には要チェックエリアです。
マンション価格上昇中の大阪
2025年、大阪での万国博覧会の開催が決定し、メイン会場は湾岸埋め立て地の「夢洲」となる予定でです。
また、大阪都心を南北に貫く鉄道新線「なにわ筋線」が2031年に開業予定です。
実現すれば、これまでアクセスが不便だと言われていた、関西国際空港~梅田間を直結する路線が誕生する事になります。
万博開催や新線の誕生により、インバウンド(訪日外国人)や企業の誘致により地域経済活性化の起爆剤となる可能性もあります。
大阪は、日本で第二の規模を誇る都市として繁栄してきましたが、社会問題となっている、少子高齢化と人口減少が続くと、超長期的にみれば不動産需要は減少する事になります。
しかし、上記のように万博開催や新線開通などでイベントは新築・中古物件問わず、マンション価格を上昇させる要因となり、大きな経済情勢の変化がない限りは大きく下落する事はないかと思われます。
大阪中古物件探しはキタへのアクセス重視で!
マンション供給は継続して供給されていますが、大きな経済変動がない限り当面大阪都心部において価格が大きく下落する要因はなさそうです。
大阪都心部の築浅中古物件の価格は、平均的なサラリーマンの収入では手が届かない価格となっているので、「キタやミナミといった都心部へのアクセスが便利なエリアで購入するか。」がキーポイントとなります。
大阪ではキタへ一極集中していく傾向が見て取れますので、キタエリアへのアクセスがよく、平均的な会社員でも手の届く価格帯の筑浅中古物件が購入できる淀川区がお勧めエリアです。