アパートを借りる時、賃借人に保証会社を利用することを義務付ける物件が多くなっています。
保証料の金額は大きいため、賃借人にとっては負担ですね。
しかも借りる物件によって保証料の金額が全く違うことも多いです。
なぜ物件によって金額が違うのでしょうか?
また、そもそも保証会社を利用する必要性があるのかという疑問を持つ方もいるでしょう。
この記事で、保証会社の仕組みや保証会社にかかる金額について、詳しくご紹介します。
アパートを借りるとき、何故保証会社を利用するの?
アパートを借りる時、以前は賃借人が連帯保証人を用意する必要がありました。
連帯保証人というのは、賃借人と同等の契約義務を負い、もし賃借人が賃料の滞納をすればその金額の大小にかかわらず即時全額を支払う必要があるという、非常に責任の重い保証人のことです。
たいてい賃借人の親が連帯保証人となっていましたが、時代の流れとともに、賃借人の親が高齢化したなどの理由から、連帯保証人から滞納賃料を取り立てることが困難になってきました。
また賃借人側も、高齢化した親が年金生活になって連帯保証人になれなくなるなど不便があったため、連帯保証人を代行する保証会社が求められるようになりました。
保証会社を利用することで、賃借人が万が一なんらかの事情で家賃を滞納してしまった時、賃料をほぼ満額カバーすることができます。
また、親が連帯保証人になれない場合や他の親戚には頼みづらいといった場合に、保証料を払って保証会社に頼めるというのは大きなメリットとなります。
さらに、管理会社にとっても、親が連帯保証人だった場合は何度も連絡をしたり場合によっては出向いたりしなければならなかったものが、保証会社を利用することによって仕事の削減ができるようになり、積極的に取り入れるようになりました。
こうして賃貸人、賃借人、管理会社、もちろん保証会社自体もメリットのあるこの仕組みが、あっという間に不動産業界に浸透したというわけです。
信販系の保証会社とは?保証料の金額は?
アパートを借りる時に利用する保証会社は、信販系の保証会社と独立系の保証会社との二種類あります。
信販系の保証会社というのは、オリコカードやジャックスカードなどのカード会社が行っている保証業務のことを言います。
10年以上前からカード会社は賃貸の保証業務を行っていたのですが、近年かなり本格的に参入するようになりました。
信販系の保証会社の特徴としては、まず独立系保証会社と比べて保証料の金額が安いことです。
賃貸借契約時に支払う保証料の目安としては、月額賃料の0%から50%程度です。
0%というのは、契約時や更新時の費用負担がなく、毎月賃料の1.2~1.5%を保証料として設定している会社があるからです。
通常、契約時や更新時に支払う保証料は、途中退去しても戻らないですから、賃借人にとっては良いシステムですね。
もう一つの特徴としては、独立系保証会社と比べて審査が厳しいことです。
信販系の保証会社の審査は、JICCやCIC、JBAといった機関が保有している信用情報を使って行われます。
すなわち、以前クレジットカードで滞納を起こしたり、債務整理や自己破産の経験があったりすると、審査には通りません。
逆に、そういった事故を起こしたことのない人を対象に保証をしているため、保証料の金額が安く抑えられる、という仕組みなのです。
独立系の保証会社とは?保証料の金額は?
もう一つの保証会社が、独立系保証会社といわれるものです。
独立系の保証会社は、アパートを借りる賃借人やアパートを貸す賃貸人の双方のニーズから生まれたもので、日本賃貸保証や全保連などがそれにあたります。
ここ10年で保証会社の利用が急激に伸びたため、保証会社の会社規模も大きくなり、様々な商品が出るようになりました。
独立系の保証会社の特徴としては、やはり信販系の保証会社に比べると保証料の金額が高いことです。
賃貸借契約時に支払う保証料の目安は、月額賃料の50%~100%となります。
また信販系の保証会社とは反対に、契約時の審査基準は厳しくないところがほとんどです。
そのため、信販系の保証会社の審査に通らない人が利用することになり滞納率が上がります。
その結果、必然的に保証料の金額を高くせざるを得ない、という訳があるのです。
アパートを借りるとき、保証会社を変更することはできる?
実際にアパートを借りる時は、賃借人が保証会社の費用を負担するのですから、どの保証会社を使うか賃借人が選べるのでしょうか?
結論から言うと、賃借人が自由に保証会社を選ぶことはできません。
ただ、いくつかの保証会社から、支払う保証料の金額を比較して選べたり、信販系の保証会社の審査が落ちたら独立系の保証会社での再審査ができたりすることはあります。
保証会社を決めるのは、アパートを管理している管理会社です。
管理会社にもいろいろな種類がありますが、管理物件のサブリース比率が高く賃貸人に近い立場の管理会社は、信販系の保証会社一社のみとなる傾向にあります。
信販系の保証会社の保証プランは、賃貸人側のメリットが高いため、そのメリットが優先されるためです。
逆に、賃貸仲介にも力を入れている管理会社は、独立系の保証会社を使っているところがほとんどです。
仲介メインの会社であっても規模の大きいところであれば、信販系と独立系どちらか選べるような形をとっています。
以上のように、アパートを借りる時、賃借人は保証会社を選ぶことができる場合もあります。
インターネットで探している段階では、保証会社の詳細までは記載していないことが多いので、注意が必要ですね。
アパートを借りる時、保証料の金額を交渉することはできる?
保証会社によって保証料の金額は異なるのですが、アパートを借りる時に、保証料の金額を交渉することはできるのでしょうか?
結論から言うと、保証会社に対して保証料の交渉はできません。
そのため、保証料の金額を抑えるためには、別の保証会社を選ぶことになります。
前述したとおり、独立系の保証会社に比べて信販系の保証会社のほうが保証料の金額は安く抑えられます。
また、独立系の保証会社同士でも金額の差がありますので、より安い保証会社を選ぶこともできます。
ただし、管理会社によってできるところとできないところがありますので、注意が必要です。
また、保証会社を利用せず連帯保証人での保証を希望する方法もあります。
この場合であれば、保証料を支払う必要はありません。
これも管理会社によってできない場合もありますので、注意が必要です。
連帯保証人の保証を希望する場合は、いくつかの条件がそろっている必要があります。
その条件は下記の通りです。
・借りる物件が長期空室案件で他に借り手が見つからないだろうということ
・賃借人と連帯保証人の職業や年収がしっかりしていること
・管理会社が賃貸人とはならない管理形態であること
以上の条件がそろっていれば、連帯保証人の保証について管理会社に交渉してみても良いでしょう。
アパートを法人契約で借りる場合、保証会社を利用することはあるの?
近年、企業の福利厚生が良くなってきていますので、アパートを借りる時に勤務先の法人が賃借人になるというケースも増えてきています。
法人が賃借人となるときも保証会社を利用するすることはあるのでしょうか?
法人といっても規模は様々で、一部上場企業や知名度の高い企業は、保証会社も連帯保証人も必要ありません。
また、そこまでではなくとも、ホームページで会社概要が公開されており、ある程度の従業員数と設立年数があれば、やはり必要ないことがほとんどです。
難しいのは、従業員が数人でホームページなどもない社長の個人事業に近い会社や、設立から1年以内など若すぎる会社です。
こういった場合は、保証会社を利用することが条件となっている場合が多いです。
ただ、法人用の保証プランについては、保証会社は限られてしまう上に個人用に比べて保証料の金額が割高になります。
審査も比較的厳しく、審査落ちとなってしまって契約できないことも少なくありません。
社歴の浅い法人は営業が不調になると家賃を滞納したり無断退去したりすることも多く、その場合の賃料回収は容易でないため、法人を対象とした保証プランというのはまだまだ少ないようです。
アパートを選ぶ時は保証会社も検討しよう!
今回は、アパートを借りる時に必要な保証会社の仕組みや保証会社にかかる金額についてご紹介しました。
今までは、保証会社まで見て検討する方はあまり多くありませんでした。
しかし今後は、どんな保証会社を使えるかで支払う費用も変わってきますので、アパートを選ぶ時の重要なポイントになってくると思います。
この記事を役立てていただければ幸いです。