日本で数多く建築されてきたのが、木造アパートであるのは間違いありません。
家賃の設定も安くなりやすい条件ですが、アパートのような集合住宅なればどうしても音の問題が付きまといます。
トラブルになりやすい性格を持っており、木造アパートでも遮音性の高さは注目を集める大事なポイントです。
実際には、構造的な違いで問題になるかどうかも変わってくるのは確かです。
音に対する対策も施すせるため、どんな方法があるのかを考えてみるべきでしょう。
木造アパートで切り離せない音の問題
音の問題を考えるうえでは、木造アパートはどうしてもリスクとして切り離すことはできません。
どうしても木造アパートとひとくくりにしがちですが、構造を見ても同じではなく、建てられた時期や工法でさまざまなかたちが存在します。
音漏れには構造的な要因があげられますが、集合住宅としてみると、住人の生活サイクルでも違いが表れてくるでしょう。
住人の帰りが遅いところでは、深夜に生活の音が鳴り響く可能性が出てきます。
ファミリー向けとなれば、子供の足音などどうしても対策しきれない部分もあり、単身者向けとは明らかに異なるでしょう。
近くに幹線道路があれば、どうしても車の音が消えません。
駅があれば、電車の走行音だけではなく、歩く人たちの声も木造アパートは伝わりやすく問題になってきます。
音の問題は生活に影響しやすく、トラブルに発展する場合も多いのは確かです。
だからといって、すべての木造アパートが問題を抱えているわけではありません。
壁や床の構造にも対策が施され、間取りも工夫されていれば伝わる音に違いが生まれるからです。
大きなリスクとして潜在してしまう以上、木造アパートの音漏れ対策は重要になります。
アパートで音が漏れていく理由はどこにあるか
音の問題に構造が影響する部分は、柱や梁ではなく壁や床です。
遮音性が何から導き出されるかといえば、使われている材料の質量にあります。
木造アパートでは、柱や梁は木でできていますが、壁まで同じとは限りません。
質量の高い素材を使うことで構造的に遮音性を引き上げられるため、木造よりも鉄骨鉄筋コンクリート造りや鉄筋コンクリート造りのほうが性能は高くなるのです。
しかし、この2つの工法に大きな違いがあるかといえば、厚みがある方が性能は優れているだけで、大きな違いはありません。
床材のほうが、壁材よりも質量の高い部材を使うでしょう。
鉄筋コンクリート造りであっても、壁にはALCを使うことが多く、遮音性としては床よりも劣ります。
もっと薄く音が伝わりやすいサッシがあるのも壁です。
木造アパートで見れば、床材に合板を使うことが多く、壁には石膏ボードや構造合板が主な使用材になってきますが、質量が小さい部材で遮音性の部分で劣ります。
そのため、木造は構造的にどうしても音漏れの問題が生じてしまうのです。
木造アパートに施せる音の対策は
既存の木造アパートでまったく対策ができないかといえば違います。
床材に遮音材を使えば、同じ木造アパートでも、漏れだしにくく外部からも伝わりにくい静かな環境を形成できるようになるでしょう。
古い物件では床だけではなく、壁にも遮音材が使われていないことが多いため、音が漏れだしてトラブルになりやすいのは確かです。
壁材が音漏れに直結する以上、サッシも重要な要素になってきます。
現在のサッシは遮音性も考え作られるようになりましたが、古いものは音漏れに対して配慮されていない構造が多くを占めるからです。
間取り的な問題としては、生活上音が出る設備をリビングに隣接していれば、大きなリスクを抱えます。
例えば、洗濯機の水が流れる音がリビングに響くのは、排水管が近くにあるから起きる問題です。
同じようにリビングの壁を挟んで隣家が風呂場やトイレとなれば、音が生活に影響するのは必然となるでしょう。
隣家と壁を挟んで同じ設備にできれば、音の問題としてはリビングに比べて小さなものになります。
間取り的な問題は、後から変更が難しいことから、トラブルになりやすい大きな要因です。
住人ができる木造アパートの音漏れ対策
既存の木造アパートの音漏れ問題は、住んでいても対策ができます。
壁から漏れる音は大きな問題ですが、壁材を変更するのではなく、窓に使っているカーテンを工夫するだけでも違いがでます。
よく知られている方法ですが、レースと厚みのあるカーテンで2重にするだけでも、どれくらい音漏れするかが変わります。
壁に1枚かけてみるだけでも、音は響きにくくなります。
厚みを取ることが質量を増大させる方法となるため、境界となる壁に本棚やクローゼットを配置してしまうのは、吸収してくれるために有効な方法です。
問題が間取りにあることがわかっているときには、初めから据え付けになっていることも対策になるのは間違いありません。
床は大きな質量のものをあとから配置できませんが、生活音が出やすい部分にカーペットを敷く方法が使えます。
コルクマットも有効な方法で、歩く音など生活音を大幅にカットできるのは、音をそのまま伝えずに吸収してくれるからです。
衝撃が音の原因となるのですから、ソファーやテーブルの足にカバーをつけるだけでも動かすときに違うでしょう。
テレビなどは、壁際に遮音板を壁に貼り付けて設置すれば対策となりますし、少し離してしまうだけでも空間が手伝い隣家に伝わりにくくなります。
木造でも工夫できることはたくさんあるのです。
木造アパートの遮音性は内見で確認
賃貸住宅を探しているときなどは、どこまで遮音性を考え対策をしているのかを確認することが大切です。
木造だから音が漏れるというだけではなく、知らなかったことが大きなトラブルに発展してしまうことが出てきます。
図面だけでは判断できない部分が多いため、実際に目で見て判別することが一番です。
窓が2重になっていれば、間違いなく対策を施していますし、壁際に収納をもってきていることも、内見で判明するポイントです。
壁も触ってみると、素材の違いを感じ取れます。
内見の時には、外の音と中の音を比較するためにも、窓を開けてみることも大切です。
隣家の生活音の状況も考慮すれば、自分の部屋から漏れる音の量も判別ができます。
壁をノックしてみるというだけではなく、担当者に廊下など歩いてもらうのも方法です。
これだけでも実際の音漏れが予想できるようになるでしょう。
部屋の中央に立ち、自分の手をたたいてみます。
木造アパートでも音が反響するようであれば、伝わらずに返ってきている証拠です。
反響している感じがなく、消えてしまうようなときには、漏れだしている可能性が高いといえるでしょう。
生活音は住人が出す
音の問題は、木造アパートでは切り離せないものです。
構造の問題と同様、大きな原因になるのが住人が音を出すということです。
車や電車の音もありますが、一定周期がありますし、慣れてしまえば済む部分もあります。
しかし、生活音はどうしても気になるもので、おとなしくしてくれればと思い、トラブルに発展することが少なくありません。
アパートにどんな人が住んでいるかを知ることが必要ですし、実際の生活サイクルを想定してみなければいけません。
小さなお子さんがいる家庭が隣であれば、静かにしたとしても、どうしても生活に関わる音が出てきます。
若い大学生が住んでおり友達も集まるようであれば、夜に音が聞こえることもあるはずです。
木造アパートであれば遮音性の低さから、住人の出す音が余計に響いてしまうでしょう。
生活音を気にしないのなら何も問題はありませんが、どうしても気になると思う人は、住人の情報がわかったときにこの物件の契約はやめるべきです。
メリットもある木造アパートを見つけるときには、音の問題として近所づきあいの部分にも注目しながらトラブルになりにくい物件を見つけることが必要です。
木造アパートのメリットを生かすためにも
大から少なかれ、木造アパートとなれば音の問題は発生します。
生活している以上、自分自身も音を立てずに生活することはできないでしょう。
木造の構造上で考えても、音を切り離すことはできません。
住人の生活を含め、元々少しでも対策が施されているのか、入居後対策をしなければいけないのかが重要です。
木造アパートだからこそ安く済むメリットも生かすのならば、問題として相殺できる範囲はどこまでかを想定してみることも必要でしょう。