建物に窓は欠かせませんが、実際にどんな大きさのものなのか、取り付け位置の高さも含めて寸法を把握していないことも多いでしょう。
図面を見てもどんな大きさで取り付けられているのか判別がつかないこともありますが、交換が必要になると寸法がわかることは役立つ知識になってくるでしょう。
形状を含めどんな窓があるのかを含め覚えておくことが大切です。
高さなど窓の寸法には規格がある
窓には工業製品としての規格が存在しています。
高さなど窓の寸法がまちまちでは、設計するときにも施工時に発注する場合にも、手配に問題が出てしまうからです。
取り付けの問題もありますが、何かあったときに交換するとしても、高さなど寸法がばらばらですと、すべてオーダーして作らなければいけません。
利便性が大幅に下がることからも、統一された規格が必要となったのです。
また、窓の役割を考えたとき、寸法は大事な要素となります。
法律でも定められている部分で、部屋の床面積に対して壁に対して1/7程度の窓をつけなければいけないとされています。
単純に計算してもかなりの大きさの窓が必要になるため、高さを含めた寸法を導きださなければなりません。
そのため、規格化しながらも、必要な面積を満たすように窓は作り上げられているのです。
他にも採光といった大事な役割がありますので、窓を配置する位置と光の入り方も考える必要が出てきます。
低い位置で配置したり、小さいサイズの窓を選んだりしてしまえば、部屋の中に光も入りにくくなるでしょう。
大きく寸法を取れれば、それだけ明るい部屋ができあがります。
健全な生活を考えても、間取りに対して窓の高さはとても大切な要素となるのです。
一般的な窓の寸法は?
掃きだし窓と呼ばれるリビングに取り付けられる一般的な窓の高さは、180cm前後です。
これは、日本人の身長からも出入りもできる高さのため、日常生活でも不便は生じないでしょう。
幅は90cmや180cmが一般的で、大きな窓になると270cmというものもあります。
一方子供部屋や寝室では、腰高窓が良く使われています。
掃きだし窓とは異なり、窓枠の大きさが120cm程度で上方に取り付けられるため、窓の下に収納スペースを作ったりして塞いでしまうようなことがありません。
賃貸など一般的な住宅に使われている窓は、あまり特殊な寸法を採用していません。
カーテンも窓の高さに合わせて選ばなければならず、特殊な寸法は別注扱いになり、高額なものを購入しなければいけないからです。
ガラスが割れてしまうような場合にも、交換に多くの費用が発生します。
一般化したサイズであれば、汎用的なもので対処もできるため、将来的な費用負担を考えても特殊なものを避ける傾向があるといえるでしょう。
もちろん、一般化した寸法がすべてではありません。
デザイン性を高めているデザイナーズ住宅といった物件では、重視するポイントが異なるために特殊な窓を採用していることも出てくるからです。
図面を見て確認するか実測することが一番ですが、一般的なサイズから範囲を考えれば、大きな誤差は生まれてこないでしょう。
呼称から窓の高さなどの寸法を判断する
窓には規格がありますが、高さも幅もある程度決められており、商品の呼称を見るだけでも判別ができます。
窓のサイズは、幅3桁と高さ2桁が連続した5桁の数字を呼称記号として明記されてくるからです。
例えば窓の呼称記号を「16513」とした場合、この窓の幅は1650mmで高さが1300mmということがわかるようになっているのです。
建設業では、基本的に寸法はmmで表します。
1000mmであれば1mを表すため、幅1.65mで高さが1.3mということになります。
工業規格品でも大切な単位になるため、区別して考える必要があるのです。
規格の表記がわかるようになれば、図面に書かれている寸法も判別ができます。
図面にも呼称記号が使われており、「16520」となっているときには、窓の幅は1650mmで高さが2000mmと確認できます。
実際の図面にも記載されていくことになりますが、表記が読めるだけでも寸法を判別できます。
建築する場合だけではなく、リフォームの図面でも同様に記載されるため、読めるようにしておけば後で間違ったと後悔することもありません。
窓を積層ガラスや防音ガラスにしたいときでも、高さを含めて寸法を割り出せれば、コストの予測ができるようになるでしょう。
FLから判別する窓の取り付け位置と寸法
窓は高さだけではなく、壁のどの高さに取り付けてあるのかも重要な要素です。
窓の取り付け高さは、リフォームをするときだけではなく、日常生活でカーテンを取り付けるときなど多くのことに影響を与えます。
クーラーを取り付ける場合にも、窓の位置が大切な要素で配管の問題も出てきます。
腰壁の上に窓があるような場合でも、取り付けの高さがわかれば全体的な寸法を出せるでしょう。
取り付け位置を判別する情報となるのが、図面にも記載される「FL」と呼ばれる表記です。
FLとは「Floor Level」の略で、図面上で床の高さを示しているため、施工の基準として用います。
さらに「+」のあとに数字が表記されますが、「FL+2100」となればフロアから2100mmの位置に窓の上端がくるように取り付けることが解釈できるでしょう。
床から窓の下端ではなく上端であるのが重要で、全体的な高さを導き出すために大事な数値となるのです。
導き出された数値からサッシの大きさを引けば、腰壁になる部分の高さも自動的に判別ができるようになります。
窓枠になるサッシの寸法であって、ガラスの寸法ではないところは注意が必要です。
FLの解釈には、フローリングを含め下地材の厚みなども含むかどうかがという問題が出てきます。
細かな部分に関しては、図面を製作した側と施工側でいろいろと取り決めをしていることがあるため、実測しなければ正確に把握できないこともあります。
窓の高さから呼ばれる種類
窓の高さを決める基準として、高窓、腰窓、掃きだし窓が存在します。
寸法もそれぞれ異なりますが、どんな設置方法をしているかが重要です。
呼び方を決めている要素は、窓の取り付け位置の高さであり、下端が肩の位置にくると高窓と呼ばれ、腰の位置になると腰窓と呼ばれます。
掃きだし窓は、名前の通りほうきで床のほこりを掃きだせるという意味があり、床面に近い位置に設置される比較的大きな窓です。
床に近い位置で取り付けられ、窓の高さが小さいものを、地窓と呼びます。
出入りを目的としていないところも掃きだし窓との大きな違いで、採光と通風を考えて取り付けられるケースも多くなりました。
規格された寸法の窓でも、取り付けの高さ次第で役割も大きく変わってくるといえるでしょう。
飾り窓やドアの窓にもある標準寸法
一般的に使われる引違い窓以外にも、飾り窓やドアも窓が取り付けられています。
飾り窓は意匠性が高く、高さに関しても独特の設計がなされていることが多いでしょう。
装飾目的が強く、上下や左右にスライドさせて開けられないものもあります。
省スペースを目的として使われる場合も多く、形も独特です。
寸法的に標準とされているものは、ルーパー窓で高さ570mmや770mm、970mm、はめ殺しにする場合には770mmと970mmと、高さ的には同じようなものが見られます。
ドアも標準とされている寸法がありますが、窓の部分はデザインによって大きく異なるといえるでしょう。
窓ガラスが割れてしまったときでも、高さと寸法がわかると情報を伝えやすくなっていきます。
交換しなければいけないときに、行動に移しやすくなるため、寸法は把握しておくことが大切です。
窓の寸法を把握しておき交換時などに役立てよう!
窓には意匠性を高めた特殊なものもありますが、一般的に使用されているものには規格が存在します。
寸法を把握しておくことによって、交換等もスムーズにおこなえるようになるでしょう。
自分の所有物であっても建物の図面を見るのは、素人では難しい部分もあります。
表記方法を見るだけでも判別がつくようになっていますから、ほんの少しの知識だけで対応が可能です。
破損したときのことを考えても、窓の知識は身につけておきましょう。