家屋の解体を考えている場合、まず気になるのは費用ではないでしょうか。
解体費用の目安が分かれば、依頼する際も安心ですよね。
また、解体業者に直接費用を聞く前に、解体費用に関する知識を得ておくことは大切です。
なぜなら解体費用の相場として出される数字には、様々な費用が隠れている場合があるからです。
こちらでは、前知識として知っておきたい相場を示す「坪単価」や木造家屋の解体費用についてお話ししていきます。
家屋の一般的な解体費用は?相場を示す「坪単価」の数値のお話
家屋の解体を考えている人は、解体費用にどれくらいかかるものなのか知りたいですよね。
解体工事にかかる費用の相場は、分かりやすく計算できるよう一般的に「坪単価」で表示されます。
解体費用の相場は、「家屋の種類別坪単価×坪数」で計算することで大まかな数値が求められます。
坪単価は家屋の種類によって異なり、一般的な相場は次のようになっています。
●木造家屋解体相場
2.5万円~6.0万円×延床坪数+その他工事費用
●鉄骨家屋解体相場
3.0万円~6.5万円×延床坪数+その他工事費用
●RC(鉄筋コンクリート)家屋解体相場
3.5万円~7.0万円×延床坪数+その他工事費用
相場を見てみると、同じ種類の家屋内でも単価の数値に大きな幅があることが分かります。
同じ木造でも、2.5万円か6.0万円では差が大き過ぎて、相場として参考にできるか疑問ですよね。
この差は、住んでいる地域によって相場が大きく変動するため生じます。
では、なぜ地域によって解体費用の相場は変わるのでしょうか?
次項でご説明していきます。
住んでいる地域によって解体費用の相場が異なるのはなぜ?
住居の解体費用は、木造や鉄筋など家屋の構造によって解体作業が変わるため相場に違いが出ますが、地域差によっても違いが出ます。
実際住んでいる地域により、同じ内容の解体工事でも費用が大きく異なることがあるのです。
では、なぜ違いが出るのでしょうか?
その理由はいくつかあります。
●立地による解体工事の行いやすさ
解体工事では、作業の際に飛散する破片や埃を防いだり、防音対策をするために養生設置を行います。
地方と都心部では、近隣の家同士の密接具合に差があることが多いため、養生設置や解体工事のやりやすさも異なってきます。
工事がしやすい場所では、同じ構造の家屋でも解体が短期間で済み、また養生シートなどの仮設にかかる費用も抑えられるので、地方の方が相場が安くなることがあります。
●近隣の解体業者との競争率
近隣周辺に解体業者が多い地域では、業者同士の競争率が上がるため、解体費用が低くなる傾向にあるといいます。
●廃材処分場の費用の違い
解体工事の費用の半分近くが廃材処分費です。
地域内の処分場の数が処分費に関係しているといわれます。
処分場の費用の差も、解体工事の相場に大きく関わってくるのです。
このような様々な原因で、解体費用の相場は地域によって異なります。
全国の地域ごとの解体費用の相場は、インターネットなどで検索すると載っているので、お住まいの地域を調べて参考にしましょう。
家屋の解体費用の内訳は?どういった費用で構成されているのか
家屋の解体費用の相場は、家屋の構造の種類や地域差によって変わってくることをこれまでお伝えしてきました。
では、相場とされる家屋の解体費用の金額の中には、どのような費用が含まれているのでしょうか?
家屋の解体費用の内訳は、次のように大きく分けられます。
●人件費
解体するための人員の人件費だけでなく、立地状況によっては道路の交通整理の人員が必要になる場合もあります。
工事状況により、どの程度の人員が必要になるかで費用は変わってきます。
●機械費
解体用の重機や廃材を運ぶトラックなどにかかる費用です。
木造家屋は鉄筋などに比べて解体工事がしやすいため、使う重機も変わってくるので安くなることがあります。
●廃材処分費
解体で出る廃材を処分する費用です。
鉄筋やRS家屋は、廃棄物の中にリサイクルできる資源が見つかる場合があります。
その場合は、産業廃棄物の量が少なくなるので処分費が安くなることもあります。
●設備撤去費
電気やガス・水道などの設備を撤去する費用です。
●仮設備
養生シートや敷鉄板などにかかる費用です。
このように、解体費用の内訳には主に5つの項目が含まれ、それぞれの項目の状況によってはかかる費用に差が出てきます。
さらに、相場として表す坪単価の数値の内訳は、解体業者毎に様々で決まりがありません。
中には、処分費や事務処理費などは含まず、坪単価を表している場合もあります。
これが、相場の数値に隠された落とし穴で後にトラブルとなることもあり、解体費用の相場は極めて変動的といえます。
木造家屋の解体費用を算出する際に気をつけること!
日本の住宅の約60%は木造家屋といわれています。
こちらでは、一般的な木造家屋の解体費用相場の算出方法をご紹介していきますが、その際に気をつけなければならないことがあります。
住んでいる地域の坪単価を調べて、坪数を乗算すれば算出できるはずなのですが、実はかかる費用はそれだけではないのです。
坪単価×坪数は、あくまでも家屋のみの解体費用で、総工費ではありません。
住宅を解体するだけでなく、完全に更地にしたい場合は、他にもいろいろな費用がかかってくるのです。
家屋の解体費に加算されるものとして考えられる事項を次に挙げてみます。
・車庫の解体
・庭木・庭石の撤去
・塀の解体
・事務処理費
このように、解体費用の総工費を算出する場合は、解体作業としてどこまで依頼するかをよく考えた上で、家屋以外の処理にかかる費用も見込んでおく必要があるのです。
木造家屋の解体費用はいくらぐらい?見積もりと相場のサンプルをご紹介
これまでお話ししてきたように、解体費用の相場は状況によって変動的なため、素人では簡単にいくらとは算出しにくいものです。
ここで、木造家屋の代表的な解体費用をサンプルとしてご紹介します。
●20坪の木造家屋(家財道具類の処分等なし)
総工費:580,000円(税別)
解体本体工事の坪単価:580,000円÷20坪=29,000円
●30坪の木造家屋(ブロック塀の撤去、養生シート・作業通路・敷鉄板の設置、交通誘導員1名配置込み)
総工費:1,350,000円(税別)
解体本体工事の坪単価:839,000円÷30坪=約28,000円
その他の費用を含めた坪単価:1,350,000円÷30坪=約45,000円
●50坪の木造家屋(家財道具一式撤去処分込み)
総工費:1,500,000円(税別)
解体本体工事の坪単価:1,082,600÷50坪=21,652円
●100坪の木造家屋(家財道具一式撤去処分込み)
総工費:2,680,000円(税別)
解体本体工事の坪単価:1,970,000÷100坪=19,700円
これらはすべて解体工事のみの坪単価を表示しています。
設備撤去費など含めると、坪単価は変わってくるので、あくまで目安の数値です。
各坪数ごとにサンプルとして解体費用を挙げましたが、坪数が大きくなるほど安くなる傾向にあるのが分かります。
家の解体費用に適正価格というのはありませんが、木造家屋の場合は23,000円~30,000円/坪ならば、適正な価格といえるでしょう。
あくまで目安ですが、これらの価格を参考に解体費用について検討してみてください。
木造家屋の解体費用を抑えるコツとは?
解体費用は、諸条件によって相場が大きく変わってきてしまうため、一概に坪当たりいくらとはいえません。
木造家屋の解体を考えている場合、費用を抑えるコツなどはあるのでしょうか?
いくつかポイントを押さえておくことで、費用を抑えることは可能です。
最後に、解体を依頼する前に抑えておくポイントをいくつかご紹介します。
●2社以上から見積もりをとる
解体を依頼する場合は、少なくても2社以上の解体業者から見積もりを出してもらいよく検討しましょう。
出してもらった見積もりを比較し、より詳細な記載がある見積もりの方で、希望に合った解体工事を行ってくれる業者を選びましょう。
費用の安さだけで選んでしまうと、思いもよらない落とし穴があることも少なくありません。
対応や会社の実績など、本質的な部分もよく吟味して検討しましょう。
●値段交渉をする
解体業者によっては、値引き交渉に応じてくれる事もあります。
交渉する場合は、あまり大きな値引きはせず、適正な価格を提示して交渉してみましょう。
●家財道具を適切に処分する
家財道具類の処分には処理費用がかかるため、残っている量によって解体工事全体の額が大きく変わります。
量によっては、10万円~30万円もの差が出ることもあるので、なるべく費用をかけずに処分しましょう。
安く処分するためには、
・リサイクルショップやネットオークションなどで売却する
・自治体の不用品回収に持っていく
・他の人に譲る
これらのポイントを押さえて、上手に解体費用を抑えましょう。
解体費用の相場のカラクリを知って賢く依頼しよう!
木造住宅などの家屋を解体したいと考えている場合は、まず解体費用についての知識を得ておくことが大切です。
ネットなどで、簡単に解体費用の相場を検索することはできますが、表示されている坪単価は変動的な数値のため、予算を組む上でその数値を鵜呑みにするのはよくありません。
相場は、大まかな費用の算出の参考として、実際の見積もりは、複数の解体業者に依頼しましょう。
相場について学んだ上で、上手に解体依頼してくださいね。