アパートなどの賃貸住宅に住んでいると、立ち退きを余儀なくされるケースも出てきます。
その理由は家賃の未払いなどの入居者の責任によるものもありますが、なかにはアパートの老朽化が原因で立ち退きをしなければならないこともあります。
もし、そのような事態になってしまったら、入居者はどのような対応をすれば良いのでしょう。
今回は、アパートの入居者の視点から、老朽化に伴う立ち退き請求について考えていきます。
立ち退きについて考える前に!アパートの老朽化の目安は?
今回はアパートの立ち退き請求についてお話を進めていきますが、その前にアパートの老朽化の目安についてご紹介します。
アパートが老朽化したと言えるであろう目安は、建てられてからおおよそ30年が経過したころになります。
30年もの年月が経過したアパートは、外観や内装などいたるところに傷みが出てきます。
その傷みを全部修繕するとなると、アパートの管理者にとっては大きな痛手となります。
また、アパートの耐震性能の問題も考えなければなりません。
昔の耐震設備では強度に不安が残りますし、経年劣化により地震に耐える力が失われていることも考えられます。
このように、古くなってしまったアパートは、解体や建て替えをする必要が出てきます。
それに際し、行われるのが入居者への立ち退き請求です。
入居者が1人でも残っていれば、貸主側はアパートを解体、または立て替えをすることはできません。
しかし、老朽化に伴う立ち退き請求には、決定的な強制力がないことも考えておく必要があるでしょう。
老朽化によるアパートの立ち退きには強制力がない!?
アパートの管理者が入居者に立ち退きをしてもらうためには、正当な理由が必要です。
正当な理由として一番に思い浮かぶのが、家賃の未払いや滞納です。
アパートは貸主である管理者によって運営されているため、家賃の支払いがなければ運営がスムーズに運んでいないことになります。
そうなれば、管理者の正当な権利として立ち退き請求を起こされても無理はないと言えるでしょう。
それでは、老朽化に伴った立ち退きの場合はどうなるのでしょうか。
入居者の悪質な行為があるわけではなく、どちらかと言うと管理者の都合によるところが大きいと言えます。
とは言え、この先老朽化が進んでいくアパートに住み続けることで、入居者である私たちの安全を害してしまう可能性があるのも確かな事実です。
老朽化に伴う立ち退きの場合は、アパートの入居者と管理者がお互いの条件に納得した上で話を進めていかなければならないでしょう。
アパートの老朽化に伴う立ち退きの流れとは
築年数のたった古いアパートでは、老朽化に伴い、立ち退きを迫られる場面もあります。
それでは、老朽化による立ち退きの流れについて大まかに説明していきます。
①立ち退きの詳細について連絡を受ける
②詳細について管理者と交渉する
③交渉の結果に納得したら退去をする
まず、「立ち退きの詳細について連絡を受ける」について詳しくお話ししていきましょう。
アパートの解体や建て替えが決まったら、立ち退きについて詳しく書かれた通知書が送られてくるはずです。
そこには、立ち退きをお願いする理由や、立ち退きの時期などが記載されています。
立ち退きの時期としては、半年から1年の猶予が与えられているはずです。
また、その通知書には、立ち退き料など立ち退きに関する補償についても記載されていることもあります。
この補償内容について交渉することが、次に入居者が取るべき行動となります。
立ち退きへの補償はアパートの管理者との交渉が重要!
次に「詳細について管理者と交渉する」についてです。
アパートの老朽化が原因で立ち退きを余儀なくされる場合は、管理者から補償金が支払われます。
立ち退きによって発生する補償金は、一般的に家賃の約6か月分が支払われることが多いと言います。
しかし、この補償金の額は、法律などで明確に決められているわけではありません。
よって、補償金の額に納得がいかない場合は、管理者との交渉が必要になります。
交渉の前に、補償金を何の費用にあてるのかを考えましょう。
補償金の内訳のうち多くを占めるのが、引っ越しのための資金です。
引っ越し先の敷金や礼金、家賃などに加えて、荷物を運び入れるのにも費用がかかります。
また、引っ越し先の家賃がこれまでよりも高額になる場合は、その差額分も費用として考えましょう。
これらの費用が総額いくらくらいになるのかをしっかりと計算しておくと、交渉を有利に進められるはずです。
アパートの立ち退きによる補償金の交渉にポイントはあるの?
老朽化に伴いアパートを立ち退く場合には、管理者から補償金が支払われますが、交渉次第では増額してもらうことが可能です。
交渉を上手に進めるためにはいくつかポイントがありますので、これからご紹介していきます。
まずは、アパートからの立ち退きの連絡がきたら、あまり日を開けずに交渉を試みることです。
立ち退きの日の間際になって交渉にあたっても、満足いく額を提示してもらえる可能性は少なくなりますし、お互いに納得いく話し合いができないことも考えられます。
しかし、交渉をするためには、次の引っ越し先についての情報も必要です。
なぜなら、補償金に引っ越し先の家賃などの情報が反映されるためです。
補償金の交渉を有利に進めるためにも、引っ越しに伴う費用を細かく記載した書面を用意すると良いでしょう。
もし、次の引っ越し先がすぐに決まらないようであれば、そのことについても管理者に相談し、補償金の上乗せを交渉してみるのもいいかもしれません。
何にしても、交渉に対してあまり感情的にならないように注意してください。
たしかに、今まで住んでいたアパートを立ち退かなければならないのは、納得がいかない部分もあるかもしれません。
とは言え、アパートの老朽化が原因による立ち退きであれば、引っ越しは避けることはできないでしょう。
アパートの入居者にできることは、立ち退きによる補償金をしかるべき金額で支払ってもらうことです。
補償金を受け取ることは正当な権利ですので、臆せず交渉を試みましょう。
アパートの退去が決まった後の流れは?
最後に「交渉の結果に納得したら退去をする」です。
アパートの立ち退きによる補償金を交渉し、提示された金額に納得できたのであれば、退居の準備を始めましょう。
立ち退きに関する通知書に退去日が書かれていると思いますので、その日までにアパートを退居してください。
もし、退去日を過ぎても引っ越しをしない場合は、居住した分だけ家賃などを支払わなければなりませんし、アパートの管理者によっては法的に裁判を起こされてしまうかもしれません。
そのようなことにならないためにも、退居の期限はきちんと守りましょう。
老朽化が進んだアパートからの立ち退きが終了したら、管理者から補償金の支払いが行われます。
なぜ、補償金の支払いが立ち退き終了後なのかというと、補償金を受け取っておきながらアパートを立ち退かないというトラブルが稀に発生するためです。
引っ越しなどにお金がかかり、どうしても退居前に補償金を支払ってもらいたい場合は、一度アパートの管理者に相談してみてください。
管理者によっては、補償金の一部だけを支払ってくれるかもしれません。
しかし、金銭関係は後になって大きなトラブルになることも多いので、そのような際は書面などで詳しい内容を残しておくと良いでしょう。
立ち退きによる補償金は交渉次第!
アパートの老朽化が原因の立ち退きであれば、補償金を受け取ることができることが多いです。
この補償金は一般的には家賃6か月分と言われていますが、交渉次第ではそれ以上の金額を提示してもらえることもあるでしょう。
交渉を有利に進めるためにも、引っ越しのためにかかる費用は詳細に記録しておいてください。
そして、納得のいく補償金を提示してもらえたら速やかに退去をし、新たな物件での充実した生活を始めましょう。