アパートなどの賃貸物件を探している時に、IT重説という文言を見かけたことはありませんか?
IT重説とは、インターネットを介して賃貸物件の個人契約の手続きが行える制度です。
近年、賃貸物件の契約において、手続きの簡略化をはかるためにIT技術が取り入れられ始めています。
この記事では、近年の賃貸契約のIT化についてと、IT重説についての詳しい解説をしていきます。
自宅からネットで賃貸物件を個人契約できる時代!
住まい探しにはかなりの労力がかかります。
まずは、家賃、間取り、立地などに関して持っている希望の条件をなるべく満たしたアパートやマンションを探し出す必要があります。
条件のいい物件を見つけることができたら、続いては管理会社や大家さんとの交渉を行う必要があります。
そして最後には、必要書類を揃えてから管理会社などに赴いて、お互いに確認し合う必要があります。
このように、実際に住み始めるまでにかかる時間と手間は相当のものです。
場合によっては会社を休まないといけないことも出てくるでしょう。
しかし近年では、以上のように手間のかかるやり取りを簡潔にするために、IT技術を利用して手間を削減した賃貸物件の個人契約も行えるようになってきています。
この記事ではまず、現代のインターネットを経由した賃貸契約について触れていきます。
インターネットでアパートの内見ができる!
アパートなどを借りるには、意外と多くの手間がかかります。
そんな手間を削減するために、近年では様々なところでIT技術が活用されています。
活用の例としてまず挙げたいのは、物件の内見がインターネット経由でできるようになってきているということです。
物件内部の写真は、以前から不動産紹介サイトなどに掲載されてはいました。
しかし、写真が暗くて不鮮明であったり、物件ごとに写真の枚数にばらつきがあったりなど、詳細なことまではわからないことが多かったです。
しかし近年では、IT技術を利用して360°のパノラマ写真が掲載されている物件が増えてきました。
人によっては、コンセントの配置が知りたいですとか、カーテンレールの種類が知りたいなど、賃貸物件でのこだわりのポイントが違います。
こういった細かい場所は写真に残されていることが少ないので、現地に行って確かめるしかありませんでした。
物件自体はイメージどおりなのに、実際の物件を見てみたところこだわりの部分だけマッチしていないと、非常にがっかりしてしまって、無駄足だったなと感じてしまいますよね。
管理会社としても、個人契約に結びつかない内見は少ないほうが助かりますよね。
ところが、360°のパノラマ写真があることで、あらゆるこだわりポイントを事前に大まかに確認することができます。
よりイメージに近い物件を、現地に行かなくても見つけることができるようになったのですね。
このことでお互いに無駄な時間を使わなくても良くなりますから、忙しい現代では非常に助かる変化だと言えるでしょう。
インターネットでアパートの個人契約ができる!
続いて、近年に行われた宅地建物取引業法の改正によってネット経由でできるようになったことに、IT重説があります。
IT重説とは、アパートの個人契約を結ぶ際に必ず行わなければいけない重説を、インターネット経由でできるようにしたものです。
ここでそもそも『重説』とは何なのでしょうか。
重説とは『重要事項説明』の略で、アパートなどの賃貸物件の個人契約を結ぶ上で、借主と貸主の両者で共有しておかなければならない重要な情報を双方立ち会いのもと確認することです。
アパートの契約をしたことがある方なら想像がつくかもしれませんが、入居前に大家さんや管理会社と対面して、契約書の読み合わせなどを行いましたよね。
以上のように、重説は本来借主と貸主の両者が一同に介して対面した状態で行うことと、宅地建物取引業法で義務付けられていました。
しかし、2017年の10月からIT重説として、インターネットを介したテレビ電話での重説が認められるようになりました。
この事によって、転勤や進学によって遠隔地に住居を手配しなければいけなくなった方でも、これまでよりも簡単に個人契約が行えるようになったのです。
ただでさえ居住環境を変えなければいけない時期には、荷物の整理などで忙しくなってしまいます。
加えて、遠隔地で賃貸物件を探そうと思うと内見や重説で度々現地に向かう必要があって、時間的にも金銭的にも厳しいものです。
その手間が軽減されたのは、借主としては非常に助かりますよね。
IT重説の方法は?ITの力で個人契約の簡略化!
IT重説についてご説明したところで、続いてはIT重説の方法についてご紹介していきます。
まずは、入居を希望するアパートやマンションを取り扱っている管理会社や大家さんに、IT重説が可能かどうか尋ねておきましょう。
比較的新しい制度ですから、もしかすると対応できないという可能性もあります。
対応できるとの返事を頂いたら、IT重説の準備をしておきましょう。
IT重説に必要となるのは、インターネットに接続したスマートフォンやタブレット、またはコンピューターと、インターネットを経由してテレビ電話を行えるアプリやソフトウェアです。
アプリの例として、スカイプやフェイスタイムが挙げられます。
なお、これらのアプリのアカウントを事前に作っておくとスムーズに重説が行なえますよ。
以上の準備ができたら、管理会社とスケジュールの調整をして当日に挑みましょう。
当日は、ネットを通じて契約書の重要事項についての説明を受け、その後に郵送で記名捺印を行った書類を貸主に送付します。
このように、スムーズに個人契約を済ませることができるのがIT重説のメリットです。
IT重説でアパートを借りる上でのメリット
借主にとって、より便利にアパートなどの個人契約が行えるようになる『IT重説』をご紹介してきました。
ここでは簡潔に、IT重説のメリットについてまとめていきます。
■現地に行く必要がない
まず第一に挙がるメリットは、やはり現地に行かなくてもいいことでしょう。
次に移る土地が遠隔地であるほど、通常は契約までにかかる手間が増大してしまうところですが、インターネットを経由した契約ならば距離は問題になりません。
■スケジュール調整がしやすい
現地に赴いて対面で重説を受けるためには、両者のスケジュールを整合する必要があります。
もし次の土地が遠隔地であると、会社を休む必要が出てくるかもしれませんし、新幹線や飛行機の手配も必要になるかもしれません。
しかし、IT重説であればスマートフォンがあればどこででも重説を行うことができます。
会社を1~2時間抜けるだけで済んだり、帰宅後に重説を行うこともできるかもしれません。
IT重説でアパートを借りる上での注意点
アパートをネット経由で個人契約できるIT重説は便利ですが、特有のデメリットも持ち合わせています。
以下に紹介していきますので、IT重説をお考えの場合は注意して臨んでくださいね。
■ネット経由の下見は万全ではない
急な転勤が決まった場合、次の住居を探す時間が取れない場合があります。
そのような時に便利なのが360°パノラマ物件写真であったりIT重説での契約ですが、可能であれば現地に赴いて物件の確認をするようにしましょう。
実際に見てみないとわからないようなデメリットや、肌で感じる雰囲気があると思います。
契約してから物件の悪いところに気がついても、後の祭りです。
■担当者と対面できない
IT重説ではインターネットを経由して契約するため、貸主側の担当者と対面する機会が減ってしまいます。
担当者と実際に会うのと会わないのでは、なんとなく信頼関係が構築しにくいように感じますよね。
入居してすぐはトラブルが発生しやすいですから、そういった時に担当者と話しやすいほうが助かる場面もあるかもしれません。
状況に応じてIT重説を利用しよう!
近年では、アパートなどの賃貸物件をインターネットネット経由で個人契約できるようになってきています。
急な引っ越しを強いられていて時間がない場合や、遠隔地に引っ越さなくてはならない場合に、IT重説を利用すると良いでしょう。
制度をうまく使って、後悔のない住居探しを行ってくださいね。