アパートやマンションといった賃貸物件にお住まいの方は、賃貸契約書に記載されている毎月決まった額の家賃を支払う義務があります。
貸主側からしたら、滞りなく家賃を納めてもらいたいものですよね。
しかし、そうした家賃を支払えずにいる家賃滞納者がいる場合、最悪の場合、裁判にまで発展することもあります。
今回は、裁判に発展する前に和解するヒントと、裁判になったときの流れをお伝えします。
いつから家賃滞納になるの?
はじめに、家賃滞納とはいったい何日目からいわれるようになるのかをお話ししましょう。
原則としては、翌月分の家賃を前月に支払う前家賃が採用されているかと思います。
こうして定められている日までに家賃を納めなければ、家賃滞納とみなされるのです。
そのため、支払期限は賃貸契約書に必ず記載しましょう。
家賃滞納といっても、定められている日を1週間遅れても、貸主側からしたらそこまで大きな問題に思わないかもしれません。
というのも、今まできちんと決まった日までに家賃を納めてきた住人であれば、うっかり忘れていることも考えられ、数日様子を見てみようとしますよね。
しかし、数日経っても家賃が振り込まれず、貸主側からすると何の連絡もない場合は心配になります。
こういった場合、貸主は早めの対応を求められますが、いったいどんな方法で家賃滞納の事実を伝えればいいのでしょうか。
また、裁判に発展する前に和解するヒントをご紹介します。
すぐに和解できれば裁判にまで発展しない
支払い日を過ぎてもいっこうに家賃が納められない場合、前項でお話をした通り、借主が忘れている場合があります。
目安としては、家賃滞納後から遅くても1ヶ月以内に電話をして確認をとってみましょう。
あまり時が過ぎてしまうと大きなリスクを伴いますし、借主側としても滞納した家賃の支払いが負担になってしまうからです。
電話でも連絡が取れない場合は、手紙やハガキで催促してみましょう。
ここで和解できれば、お互いに確執が残らず普段通りの生活に戻れます。
しかし、それでも何のアクションも得られない場合は、内容証明郵便による催告書を送りましょう。
この内容証明郵便による催告書は、仮に裁判を起こしたときに有利に進むものになります。
それでも対応がない場合は、賃貸契約書にある連帯保証人に連絡し、家賃が滞納していることを借主に伝えるように話しましょう。
大抵の場合は連帯保証人になってくれた人に迷惑を掛けたくないと、借主側から何らかのリアクションがあるはずです。
3ヶ月経過してもアクションがない場合は裁判も考える
通常、家賃を滞納している借主に支払い義務がありますが、連帯保証人が明確であれば借主の代わりに家賃を支払うよう請求ができます。
しかし、連帯保証人ではなく保証人である場合は請求できませんし、滞納者が勤める会社などに債務を負う必要はないので、借主が滞納している家賃の請求はできません。
そして、債務を負う必要はない人物に催促をしてしまうと、逆に訴えられる可能性もあるので注意しましょう。
家賃滞納の事実から3ヶ月経過すると、裁判を起こす手段も視野に入れはじめます。
貸主側からしたら裁判を起こさずに和解したいところですが、何ヶ月もアクションがない場合には致し方ありません。
催告書にて、「対応が見られない場合は裁判を行います」とし、最終通告を行うのです。
貸主側からすると裁判にせずにどうにかしたい気持ちもありますが、落ち着いて対応しましょう。
和解とは正反対!家賃滞納者にしてはいけないこと
前項で、債務を負う必要はない人物に催促をしてしまうと、逆に裁判で訴えられる可能性もあるとお話ししましたが、ほかにも気を付けたいことがあります。
●脅迫罪・強要罪・侮辱罪・暴行罪
何ヶ月も連絡が取れず、家賃がどんどん滞納していくと、つい感情的になってしまいますよね。
しかし、大声で脅したり、力でねじ伏せようとする行為は犯罪となり、反対に訴えられてしまうこともあります。
●住居侵入罪
部屋の鍵を持っていても、勝手に鍵を開けて部屋に入ってはいけません。
住人の安否確認を行う場合は、必ず警察に連絡しましょう。
●器物損壊罪
住人の持ちものを持ち出したり、壊してしまうと器物損壊罪が問われます。
●不法行為
勝手に鍵を変えて部屋に入れないようにする行為は、損害賠償請求をされるおそれがあります。
こうした行為は家賃滞納者との和解とは程遠く、逆に裁判で不利に働いてしまう行為です。
弁護士を通すことで和解に向かう可能性も!
裁判を起こして家賃滞納という問題をすぐに解決したい気持ちも分かりますが、そのまえに弁護士に相談してみましょう。
初回のみ無料で相談に乗ってくれることもありますので、積極的に活用してみてください。
弁護士に依頼することでどんな効果があるのかというと、滞納者へ直接交渉を弁護士が行ってくれます。
そのため、弁護士によって話し合いが進み、和解となれば裁判をする必要がなくなるのです。
裁判は費用もかかってきますから、弁護士を通じて解決できればとても助かりますよね。
また、裁判を起こすことになった場合でも、さまざまな手続きで力になってくれることでしょう。
ただでさえ時間や精神的な負担がありますから、弁護士が居てくれることで安心感が得られますね。
そしてなにより、家賃滞納問題に対しても的確なアドバイスをしてもらえます。
こういったことから、初回の無料相談ができて、家賃滞納に対しての知識が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
家賃滞納の裁判!どんな流れなの?
最後に、家賃滞納問題が裁判にまで発展した場合、和解となるまでの流れをご紹介します。
裁判をはじめるためには、訴状を提出する必要があります。
訴状とは、原告と被告の指名や住所、裁判で請求する趣旨とその要点を記載したものです。
もしも、こういった事実を証明するものがあれば、一緒に添付しましょう。
これらの書類を提出すると、家賃を滞納している住人宛てに訴状が送られていきます。
すると、請求した趣旨や原因に対しての答弁書が被告から送られてきますので、裁判のための準備を行いましょう。
原告とのやり取りが証拠として提出できますので、賃貸契約書やそれに付随するものが重要になってきます。
そして、裁判官等によって事実を確認する審理が行われ、その後、原告と被告を混ぜて話し合いの場になります。
話し合いのなかで裁判官から和解できるかどうかの問いかけがあり、両者とも納得がいくようであれば問題は解決に向かうことでしょう。
ここで解決できれば退去への手続きがスムーズですし、退去しない場合でも和解しているため、両者の関係も緩和が望めます。
しかし、今後は家賃を滞納しないという条件を和解条項にしておかないと、また同じようなことが起きかねないので注意が必要です。
では、和解にならない場合はどうなるのでしょうか。
もしも和解とならない場合は、判決が下されます。
このときに不服がある場合は2週間以内(判決送達日の翌日から)に、上級裁判所に対して上訴を行うことができます。
判決に納得できない場合は、弁護士と相談して進めていきましょう。
家賃滞納問題は冷静に判断すること
賃貸契約における家賃の支払いは借主が行うべき義務ではありますが、何らかの理由によって滞納してしまうこともあります。
まずは借主と冷静に話し合い、それでも和解できない場合は弁護士に相談してみましょう。
弁護士に介入してもらっても解決しない場合は、裁判という手段になるかもしれません。
しかし、感情的にならず、できるだけ和解で済むように進めていきましょう。