ベランダにプランターを置いて、ちょっとしたガーデニングを楽しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、ベランダを冬場にしか使わないタイヤを置いておく場所にしている方もいるかもしれません。
様々なことに活用できるベランダスペースですが、あまりにたくさんのものを置いたとすると、強度的に問題がないのか不安になりますよね。
実際のところ、木造住宅のベランダの耐荷重はどれくらいなのでしょうか。
木造住宅のベランダの耐荷重はどれくらい?
住宅においてベランダは、様々な役割を持つスペースです。
普段から洗濯物を干すために利用している方は多いでしょうし、大きい掃出し窓は室内に新鮮な外の空気を取り入れる重要な窓口でもありますよね。
他にも、ベランダのスペースを利用してちょっとしたガーデニングをする方や、普段使わないタイヤのような大きな荷物を収納するスペースとして利用する方など、人によって様々な活用事例があるものだと思います。
そんなベランダを利用するにあたって気になるのは、ベランダそのものの耐荷重がどれほどあるのかということです。
ベランダは建物からせり出しているデザインであることも多いですから、あまりに重いものを置いてしまったら床が抜けてしまったり、建物が傾いてしまうのではないかと不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
鉄骨や鉄筋コンクリート造の住宅ならともかく、木造住宅ならなおのこと不安が増します。
そこで、この記事では木造住宅に着目して、ベランダの床の耐荷重についてお話をしていきます。
木造住宅の床の耐荷重は建築基準法で決まっている!
ベランダは洗濯物や布団を干すことができる便利なスペースであり、また、プランターを設置して小規模なガーデニングや、夏の間には緑のカーテンを設置して楽しむ事もできる場所です。
ベランダを活用しようと思うと自然と物が増えてしまうものですが、一方であまりに重いものを置くことにも不安がつきまといます。
木造住宅のベランダの耐荷重は、実際のところどれくらいなのでしょうか。
その答えは、建築基準法から推測することができます。
木造住宅に限らず、すべての建築物には、建築基準法によって床の耐荷重の基準が設けられています。
この基準を下回った建築物を作ってはいけないと、法律レベルで規定されているのです。
今回焦点を当てるベランダは、当然ながら建築基準法の適用範囲に含まれますので、床の耐荷重が最低でどれくらいあるかについては建築基準法から推測できます。
建物ごとに耐荷重に差があれど、最低の値さえわかれば安全に配慮してベランダを使うことができますよね。
その耐荷重とは、ずばり180kg/㎡です。
つまり、ベランダに180kg/㎡を上回るようなものや、合計した重さが上回ってしまうほどのたくさんのものを置くことは避けたほうがいいかもしれません。
180kg/㎡の耐荷重ってどれくらい?
木造住宅のベランダの耐荷重がどれほどなのか、前の項で推測することができましたね。
しかし、数字がわかっても実際にはどのくらいなのかという感覚がわからない方もいらっしゃることでしょう。
180kg/㎡は、単位が示すように1㎡あたりの床に180kgまでの重さがかかっても耐えられるという意味です。
つまり、1㎡に大人が3人立つくらいまでの負荷であれば、なんとか問題がないと言えるでしょう。
ただし、この値は床に局所的に荷重がかかった場合の耐荷重だということに注意しなければなりません。
平易に言えば、ピンポイントでこれだけの荷重がかかっても床が抜けないということを保証するための値です。
もし床全面に180kg/㎡の荷重がかかった場合は、床材の局所的な負担を見れば問題なかったとしても、建物の根幹に想定外の負荷がかかってしまって危険である可能性があるのです。
そこで、建築基準法からもうひとつ別の基準を考えてみましょう。
次の項では、床全体から考えた耐荷重についてお話をします。
ベランダを安全に活用する方法!
木造住宅のベランダで、局所的な荷重であれば180kgまで耐えられることがわかりましたね。
しかし、床全体にかかる荷重として見ると建物への悪影響が考えられます。
そこで、建築基準法からもうひとつ別の基準を考えてみましょう。
ベランダやバルコニーのように人が立ち入れる屋外スペースの床の平均耐荷重は、60kg/㎡と定められています。
これは、1㎡あたりに大人1人と考えると捉えやすいですね。
ベランダの床全体に物をおいてどれくらいの重さに耐えられるかを考える場合は、安全を考慮して60kg/㎡未満に抑えておくことが賢明でしょう。
ベランダガーデニングのために、ベランダにレンガなどを敷き詰めようと思っている方がいらっしゃったら注意してください。
レンガは1つ1つが結構な重さなので、すぐに60kg/㎡を超えてしまいます。
木造住宅のベランダに重いものを置く時に注意すべきこと!
ここまでで、木造住宅のベランダの耐荷重がどれくらいなのか理解できたかと思います。
床1㎡あたり、60kg以上のものを置かないようにすることが最善の安全策だと言えるでしょう。
これらの他に、もしベランダに重いものを置く場合に気をつけるべきことはあるのでしょうか。
まず、ベランダに重いものを置くときには、コンパネなどの板を敷いてなるべく荷重を分散させると少し安心できます。
ベランダに60kgの荷物を1つ置くと仮定した時に、ベランダに直置きすれば床に掛かる荷重は60kgです。
一方、1メートル×2メートルのコンパネを敷いた上に荷物を置けば床との接触面積が増えるので、理論上は床1㎡あたり30kgに軽減されます。
次に、重い荷物は梁の上や近くに寄せて置きましょう。
テコの原理で示されるように、力は支えている場所から遠い場所にかかるほど大きくなります。
なるべく梁の上や近くに荷物を置くことで、建物への負荷を軽減することができます。
逆に言えば、ベランダの真ん中に重いものを置くことは避けましょう。
耐荷重がそれほどないベランダもあるので注意!
木造住宅のベランダを活用する上で、気をつけるべきことについてお話をしてきました。
続いては、ベランダそのものについて気をつけるべきことをお伝えします。
ベランダと言っても様々なものがあり、建築時から作り付けのものもあれば、後からリフォーム工事などで取り付けたものもあると思います。
これらのうち後者は、作り付けのものと比較すると耐荷重に劣ることがありますので、あまり重いものを置くことは避けるようにしましょう。
施工方法にもよりますが、後付のベランダは木造建築を支える梁と直接接続していないことがままあるため、十分な耐荷重を発揮できないことがあるのです。
単身世帯向けのアパートなどで見かける、窓の外に取り付けられた落下防止柵のような物もありますよね。
さすがに人が乗ろうと思うことはないと思いますが、こちらの場合はプランターを設置することも怪しいほどの耐荷重しかないかもしれませんよ。
木造ベランダの耐荷重は60kg/㎡を目安に!
木造建築のベランダは、活用しようと思うと耐荷重が気になって、どれくらい物を置いてもいいのかと不安になりますよね。
本文でお伝えしたとおり、建築基準法から推測した60kg/㎡を超さなければ、著しい問題は発生しないと考えられます。
重いものを置くときのテクニックについてもお伝えしましたので、便利にベランダを利用してくださいね。