不動産業務に関わる仕事をしている人でないと、なかなか使うことがない不動産用語。
読み方がちょっと難しかったり、意味が分からなかったりしますよね。
今回の記事では、土地の登記記録の項目である「地目」について解説します。
地目といっても宅地や原野や雑種地などたくさんの種類がありますので、ご説明していきます。
不動産用語は難しい?地目って何?
不動産用語の中には、一般の人があまり使わない専門用語があります。
読み方が独特の言葉もあり、なかなか馴染みがないと思います。
今回はそんな不動産用語の中から、土地の登記記録に記載される専門用語について解説していきます。
普通に生活していると、土地の登記記録を見ることはあまりありません。
見たことがない、という人も多いでしょう。
登記とは、法務局に記録されているということです。
建物と違い、土地はすべて登記されています。
そしてその登記記録の中に、「地目」という項目があります。
まずはこちらの、地目についてです。
読み方は「ちもく」です。
もし、土地を所有していて、そこに家が建っているのであれば、おそらく地目は「宅地」です。
簡単にご説明すると、地目とはその土地がどのような使われ方をしているのかを種類分けしたものなのです。
土地は宅地以外にもさまざまな使われ方をしています。
田や畑はもちろん、道路や川も土地です。
そのすべてに地目が設定され、種類分けされているのです。
地目は全部で23種類あり、田や畑とわかりやすいものから原野や用悪水路という、聞きなれないものもあります。
宅地や原野など身近な地目とその読み方!
それでは、23種類の地目について簡単にご説明していきます。
まずは、身近な地目からご紹介します。
読み方が特殊なものもありますので、読み方も一緒にご紹介します。
■宅地(たくち)
建物の敷地やその維持に必要な土地です。
住宅だけでなく、店舗や工場の土地も含みます。
■田(た)
用水を利用して耕作する農耕地です。
■畑(はたけ)
用水を利用しないで耕作する農耕地です。
■山林(さんりん)
基本的に山を指します。
耕作の方法によらず竹林の生育する土地です。
■原野(げんや)
耕作の方法によらず、雑草や灌木が生育する土地です。
基本的に、農地には適していません。
■池沼(ちしょう)
灌漑用水(かんがいようすい)ではない水の貯留池です。
自然のものも人工のものも含まれます。
■公園(こうえん)
公衆の遊楽のために供する土地です。
■牧場(ぼくじょう)
家畜を放牧するための土地です。
■墓地(ぼち)
人の遺骨や遺体を埋葬する土地です。
■学校用地(がっこうようち)
学校の校舎や施設のための土地です。
■鉄道用地(てつどうようち)
路線や駅舎、付属施設のための敷地です。
あまり知られていない地目とその読み方
続いて、あまり馴染みのない地目をご紹介します。
普通の読み方では読めないものもあります。
■堤(つつみ)
防水のために築造した堤防のことで、河川敷の堤防や海岸の防潮堤などが当てはまります。
■塩田(えんでん)
海水を引き込み、塩を採取するための土地です。
■井溝(せいこう)
田の畝の間や、村落の間にある通水路です。
■境内地(けいだいち)
境内に属する土地で、本殿や拝殿、参道や布教活動を行うための建物が建っている土地も含みます。
■鉱泉地(こうせんち)
鉱泉、温泉の湧出口やその維持に必要な土地です。
■ため池(ためいけ)
耕地灌漑用の用水貯水池です。
■保安林(ほあんりん)
森林法に基づき、農林水産大臣が指定した土地です。
土砂の流出の防備やなだれの危険の防止などのために指定されます。
■運河用地(うんがようち)
運河に属する道路や橋梁、堤防などが運河用地です。
人工的に整備された水路になっています。
■水道用地(すいどうようち)
水道の水源地や貯水池、ろ水場、水道線路のための土地です。
■用悪水路(ようあくすいろ)
灌漑用、もしくは悪水排泄用の水路です。
■公衆用道路(こうしゅうようどうろ)
一般交通のための道路です。
■雑種地(ざっしゅち)
ほかのどの地目にも当てはまらない土地です。
以上、23種の地目をご紹介しました。
田や畑、公園など目的が明確なものから、原野や山林、雑種地など目的があいまいなものまであるということがわかりましたね。
不動産用語の土地の数え方と単位の読み方
地目についてご紹介してきました。
ちなみに、ひとつの土地にはひとつの地目しか設定できません。
主に使用されている目的から、地目が判断され定められます。
ところで、土地はどのように数えるのかご存知ですか。
土地を数えるときには、不動産用語では聞きなれない単位を使います。
土地は「筆」という単位で数えられています。
読み方はそのまま「ふで」です。
土地は区分けされ、それぞれ地番が付いていますよね。
ひとつの土地は、「一筆(ひとふで)」です。
一筆の土地は、合体したり分割したりできますが、これも不動産用語では特別な言葉を使い、読み方も変わっています。
土地を合体させることを「合筆(がっぴつ・ごうひつ)」、分割することを「分筆(ぶんぴつ)」といいます。
あまり使わない言葉かもしれませんが、土地の一部を売買するときや土地の一部だけ地目を変えたいときなどに分筆が必要になることもあるため、覚えておくと良いでしょう。
続いて、次の項では宅地ではない地目、雑種地や原野、山林などに建物が建てられるのかどうかについてお話しします。
原野や山林でも家が建てられる!
すべての土地には地目が設定されており、その土地を使う目的が登記記録されています。
それでは、地目が宅地でなければ建物を建てることができないのでしょうか。
実は、宅地でなくても建物を建てることができます。
建物を建てることができる地目は以下のとおりです。
■宅地
■山林
■原野
■雑種地
■田
■畑
宅地はもちろん建物を建てることができますが、ほかの地目はそれぞれ手続きが必要です。
山林・原野・雑種地は地目変更をしなくても建物の建築はできますが、家を建てたあとに地目変更の手続きを行う必要があります。
土地の用途を変更した場合は、速やかに届け出なければならないという規定があります。
地目が田や畑などの農地の場合、原則建物を建てることはできません。
しかし、許可がおりれば家を建てることができます。
その場合、農地転用という手続きが必要です。
農地転用は「のうちてんよう」という読み方をします。
農地に関してはさまざまな制限がかかっていますので、家を建てられるかどうかは事前に調査が必要です。
農地転用できなければ、家を建てることはできません。
原野や山林には家が建てられるけど調査は必要!
家を建てるつもりで購入を検討していた土地の地目が、原野や山林だった場合でも家を建てることができますが、過去の地目については注意しておくべきです。
例えば、過去に「池沼」や「田」「ため池」であった土地は水分が多く、地盤が弱い可能性があります。
災害によって地盤沈下したり、液状化現象が起こる可能性もあります。
建物を建てるのであれば、地盤調査を行うことをおすすめします。
地盤調査の結果によっては、地盤改良工事が必要になることもあります。
地目が原野や山林になっていて、土地代が安いと思ったら地盤改良工事にお金がかかってしまった、ということもあります。
土地の購入前には、しっかりと調査をするか専門家に調査を依頼しましょう。
地目などの登記記録は、所轄の法務局で調べることができます。
所有権を持っていなくても、手数料を払えば登記事項要約書や登記事項証明書を発行してもらえます。
不動産用語は専門的な言葉も多く、読み方が特殊なものもありますので、とっつきにくいかもしれません。
しかし、不動産は私たちの生活にも多く関係していることですので、今回の記事が役立つことと思います。
不動産用語は知っておいて損はない
不動産用語は難しそうではありますが、知ってみるとそんなに難しいことではありません。
地目は、住宅の建築や土地の売買の際に必要になってくる情報なので、知っておいて損はないでしょう。
地目によらず建物が建てられない地域も存在しますので、土地を調査する際は地目以外も調査することをお忘れなく。