家を建てるには、まず土地が必要です。
宅地として土地を利用する際、気になる事項の一つに「地盤の強度」があるのではないでしょうか。
家を建てようと考えている土地の地目が「畑」だった場合、地盤の強度に問題はないか知りたいですよね。
こちらでは、地目が「畑」の土地の特長や地盤についてお話ししながら、「畑」の土地に家を建てる場合の対策方法や注意点についても触れていきます。
地目が「畑」とはどういうこと?
土地には、田や畑、宅地など、種類別に決められた「地目」があります。
地目とは、「どのような土地か」「何に使う土地か」など、土地の利用状況を示すものです。
地目が分かれば、土地のおおよその様子を知ることができます。
家を建てる前に、その土地が以前どのような状況だったか知っておきたいですよね。
全国のどのような土地でも、法務局で記録される「登記簿」に、その土地の情報として「地目」が記録されています。
地目を知りたい場合は、その土地の「登記事項要約書」か「登記事項証明書」を取得すると、確実な情報が得られます。
地目は、法律上23種類に区分されており、それらの中でも「畑」は、「農耕地で用水を利用しないで耕作する土地」と位置づけられています。
栽培する作物の種類に関わらず、用水の水を利用する「田」以外の農耕地は、すべて「畑」なのです。
そのため、以下のような土地の地目は、すべて「畑」に区分されます。
・野菜、豆芋、麦など栽培する土地
・花、綿、牧草、芝など栽培する土地
・果物、養蚕用の桑、茶葉、植林用の苗木などを栽培する土地
地目が「畑」である場合は、その土地が、ある種の植物を栽培している土地、あるいは栽培されていた土地であったことが分かります。
ただし、地目が畑でも、現状が畑でない場合もあります。
畑だった場所を資材置き場や駐車場など、他の目的で利用している場合もあるので、頭に入れておきましょう。
家を建てる場合、土地に関して気になるのが「地盤の強度」ではないでしょうか。
次項では、地目が「畑」の土地と地盤との関係についてお話ししていきます。
「畑」の地盤は他の地目の地盤と比べて違いがある?
家を建てる目的で購入しようと考えている土地の地目が「畑」の場合、地盤の強度を気にする人が多いのではないでしょうか。
それでは、地目が「畑」の土地の地盤は、他の地目の土地と比べて違いはあるのでしょうか。
不動産登記法では、地目の種類が「宅地」「田」「畑」「山林」「原野」など、全部で23種類に区分されています。
様々な利用状況によって地目は分かれていますが、どの地目の土地の地盤が一番しっかりしているかは、地目の記載からだけでは正確には判断できません。
地盤がしっかりしていると思える地目であったとしても、地盤の弱い地形に隣接していたり、地盤自体不変なものでないため動いて変わっていたりすることもあるので、調査以外での判断は難しいのです。
基本的に、地盤の強度は、地盤調査でしか正確な判断ができません。
また、地目にはあいまいな部分もあります。
地目は、一つの土地(土地1筆)に対して一つしか定めることができず、その土地の「主な」利用目的から種類が決められています。
家庭菜園などを行っている土地の場合、地目が「宅地」か「畑」かは、その主な目的の規模で判断されます。
小規模の菜園ならば「宅地」、大規模の菜園ならば「畑」となることも有り得ます。
宅地の地目であったとしても、土地としては畑と大差がない状況のこともあるのです。
このようなことから、「地目」の種類からでは、地盤の強度は測れないのです。
地目が「畑」の土地に家を建てるメリットやデメリットとは?
前項でお話ししたように、土地の地盤の強度は、「地目」の種類だけでは正確に判断することはできません。
ただ、土地を購入する際には、その土地の情報をある程度把握しておく必要があります。
先述したように、土地に関する情報は、「登記事項要約書」か「登記事項証明書」を取得することで、調べることができます。
調べた結果、購入する土地の地目が「畑」であった場合、考えられるメリットやデメリットについてお話ししておきましょう。
「畑」の土地には、次のようなメリットが考えられます。
一般的に、元々「田」や「畑」だった土地は、「宅地」などよりも坪単価が低めです。
また、土地を造成して区画分けした「分譲地」は、元々畑や田であった土地を改良したものが大半です。
畑のような広い土地を区画分けして作られた分譲地は新興住宅が多く、お店や行政施設など町づくりが進んでおり、生活面でも便利なため人気があります。
これに対して、土地が「畑」の場合のデメリットは以下のようなものがあります。
・注文住宅の場合は、地盤調査や申請など、いろいろな準備に時間がかかる
・地盤が弱い場合は、地盤の改良工事の費用がかかる
・家を建てた場合、湿気がこもりやすい
このように、元々「畑」であった土地に家を建てる場合、メリットだけでなくいくつかのデメリットもありますが、地盤調査をしっかり行い、結果に応じた改良や対策、補強工事行えば問題はないといわれています。
「畑」の土地に家を建てるときに必須の「地盤調査」
「畑」の土地は作物を育てるため、耕されて水が定期的にまかれていることが多く、水分を多く含む柔らかな土地となっている可能性が高いです。
また、畑では土の中に植物片が混じっていることが多いため、土が圧縮しやすく、建物を支える地盤として向いていない場合があります。
そのため、地目が「畑」であった土地に家を建てることを考えている場合は、まず「地盤調査」を行っておきましょう。
地盤調査には、次のように種類があります。
●スウェーデン式サウンディング試験
最も一般的な地盤調査で、ネジ状の機械の先端部分を回転させながら地中に押し込み、土の硬軟や締まり具合を判定します。
調査費用は10万円前後です。
●標準貫入試験(ボーリング調査)
掘削した孔を利用して土の硬軟や締まり具合を調べるのに加えて、地質も調べられる調査方法です。
調査費用は20~30万円程度です。
上記のような方法で地盤調査を行った結果、地盤が弱いと分かった場合には、対策や補強工事を行う必要があります。
地目が「畑」でも家を建てたい!地盤を強化する方法とは
地目が「畑」の土地に家を建てたい場合には、地盤調査が必要不可欠です。
地盤調査を行った結果、地盤が弱いと判明した場合には、家の建設に適した地盤改良工事を行う必要があります。
ただ、調査結果によっては、改良が不可能な場合もあります。
家を建てるのにふさわしくない地盤の土地と判明した場合は、地震被害や地盤沈下、液状化現象などが起こることも考えられるため、無理に建設するのは止めましょう。
改良が可能な土地の場合には地盤改良工事を行いますが、工事方法には以下のような3つの種類があります。
●表層改良工法
セメントで地表周辺を固める工法で、地表から2mまでの浅い補強に使われます。
費用の相場は比較的安価で、地盤改良工事の施工面積1坪(3.31m²)あたり3万円程度です。
●柱状改良工法
地盤を掘りながらセメントを注入し、撹拌させて土と混ぜ、円柱状の地盤を作って地盤自体を強化する工法で、深度が2~8mの場合に行います。
費用の相場は、建物の建築面積1坪(3.31m²)あたり4~5万円程度です。
●小口径鋼管杭工法
金属製の鋼管を掘り下げていき、固い地盤に到達したところで固定して支える工法で、深度が2~30mまでの場合に行います。
費用の相場は、建物の建築面積1坪(3.31m²)あたり5~7万円程度です。
地盤改良工事について3つの方法をご紹介しましたが、それぞれメリットやデメリットがあるので、工法を選ぶ際は施工業者とよく相談して決めましょう。
地目が「畑」の土地に家を建てるときの注意点
これまで、地目が「畑」の土地に家を建てる際に気になる「地盤」についていろいろとお話ししてきました。
最後に、「畑」の土地に家を建てるときの注意点を、いろいろなパターン別にご紹介するので参考にしてみてください。
地目が「畑」の土地に家を建てるパターンとして、次のような場合が考えられます。
●分譲地(地目が畑)を購入して家を建てる場合
分譲地は、宅地として開発された土地なので、上下水道や電気などのインフラ(下部構造)があらかじめ整備されています。
そのため、ほとんどの場合、土地購入後にインフラ整備費用はかかりません。
注意点を挙げるとすれば、地盤調査の有無や詳細を確認しておくことでしょう。
●分譲地ではない土地(地目が畑)を購入して家を建てる場合
分譲地でない元々畑の土地では、上下水道などのインフラ整備がされていないことが多いでしょう。
このような土地では、インフラ整備を行わなければならないため、土地購入後に数十万円から場合によっては百万円近い費用がかかることもあります。
また、土地に高低さがある場合には造成費用などの費用もかかることがあります。
●親からもらった土地(地目が畑)に家を建てる場合
前述した分譲地でない土地と同じく、インフラが整備されていないことが多い他に、さらに注意すべき点があります。
元々農地だった土地に家を建てる場合には、農地転用を申請し、家を建てる許可を得なければなりません。
親からもらった土地の場合は、農地転用可能かを調べた上で、転用申請を行いましょう。
どんな地目の土地でも家を建てるなら地盤調査を!
この記事では、地目が「畑」の土地に着目して、家を建てる際に気になる地盤についていろいろとお話ししてきました。
結論として、畑として使われていた土地だからといって、一概に地盤が弱いとはいません。
地盤の強度は、専門業者による地盤調査で判定してもらうのが確実です。
畑であった土地を宅地に利用する場合は、さまざまなメリットとデメリットが考えられます。
土地の購入や利用は、家を建てた後になって後悔しないよう、専門業者などプロの意見を取り入れて検討しましょう。