接道が私道だったら持分が重要!価格はあってないようなもの

土地や建物を購入するとき、広さや利便性、日当たりなどが気になりますよね。

それと同じくらい気にしてほしいのが、土地に接している道路です。

どのような道路に接している土地であるのかが、実はとても重要なのです。

もし接道が私道だったとしたら、私道の持分を得ておくことをおすすめします。

しかし、私道の価格は「○○円」という設定が難しく、あってないようなものです。

私道に接した土地や建物の売買に際して、注意してほしいことをまとめました。

私道に接した土地に建物は建てられる?

道路には、公道のほかに私道があります。

私道とは個人や民間企業が所有している道路のことです。

私道というと砂利道だったり、近隣に住んでいる人しか通れない袋小路だったりするイメージがあるかもしれません。

しかし、中にはきちんとアスファルト舗装された私道もあります。

しかも、私道であっても建築基準法で道路として認められていることもあります。

建築基準法で認められている道路であれば、私道であってもその道路を接道として建物を建築することが可能なのです。

しかし、他人の土地を経由しなければ往来できない土地は、将来建て替えなどができないなどのリスクが生じます。

もし、土地や建物の購入をご検討であれば、接している道路がどのようになっているのかをしっかりと確認しましょう。

きちんと舗装された道路に見えるからと言って、それが公道であるとは限りません。

土地や一戸建てを購入する際には、接道は確認するべき重要事項なのです。

一般的に、私道が接道になっている土地や建物は、私道の持分が一緒に含まれていることが多いです。

その際、私道に関しては、実際には価格はないようなものです。

しかし、この私道の持分がとても重要な存在であるのです。

持分がないと通行や埋設、掘削にも許可が必要になる?

道路には、通行だけでなくほかにも役割があります。

先ほどもお伝えした通り、私道であっても建築基準法で認められた道路であれば建物を建てることができます。

しかし、建物には生活するための設備が必要です。

例えば、上下水道やガス、電気、通信網などです。

上下水道管やガス管は道路に埋設しなければなりません。

もし私道の持分がなければ、私道の持ち主に管の埋設許可や掘削許可の承諾を取らなければならないのです。

場合によっては、私道の使用料を請求されることも考えられます。

私道の持分を持っていれば、ほかの私道共有者もお互いさまなのですから、承諾がもらいやすい場合が多いようです。

通行するにも心配があります。

もし私道の所有者が変わってしまった場合、突然車両の通行を禁止されたり通行料を請求されたりすることもあり得ます。

このような通行料の価格はあってないようなものなのですが、請求されてしまうと払わざるを得ないですよね。

私道の持分があるかないかというのがとても重要であることがお分かりいただけたかと思います。

土地の価格に影響を与えることも?持分がない私道のリスク

私道に接した土地に建物を建てる際の注意点を以下にまとめました。

■通行許可

私道は他人の土地ということになりますので、通行の許可が必要になります。

しかし、その私道が位置指定道路になっている場合は通行は基本的に拒否できないといわれています。

位置指定道路は、道路としての公共性が認められているからです。

しかしながら、自動車の通行に関しては明確な決まりがあるわけではないようです。

私道の所有者が自動車の通行を制限すれば、その主張が通る場合も考えられます。

■掘削許可

建築確認がおりたとしても、私道所有者から掘削許可が得られなければ建物は建てられません。

水道もガスも入れることができないからです。

こういったことが土地の価格に影響を与えることもあります。

■私道所有者が変わる

将来、相続や売買などによって私道所有者が変わることもあります。

建て替えや土地の売買の際に、新しい私道所有者と連絡が付かないと、土地が宙に浮いてしまいます。

相続の場合、相続人が遠方だったり複数世代にわたったりしてしまうと、連絡を取るのも大変です。

こういったトラブルは住み始めてすぐには顕在化してきません。

のちのちになってわかる問題ですので、やはり私道の持分を得ておくのが安心です。

高い価格の買い物だから書類を取り交わしておこう

前項でご紹介したように、私道に接している土地に住宅を持つことにはリスクがあります。

土地や建物の売買は高い価格になることがほとんどなので、慎重になるのは当然です。

持分がない状態で、こういったリスクを回避し私道の通行や掘削・埋設を行うためには、あらかじめ私道所有者の承諾を得ておくのがベターでしょう。

通常、「私道の無償通行・掘削承諾書」という書類を取り交わします。

・該当地の所有者・関係者は、接している私道を自動車を含め自由に通行できる
・該当地に上下水道管・ガス管など生活に必要な設備を埋設する際、その私道を無償で掘削できる
(その際私道の復旧は該当地所有者の負担で行う)
・該当地所有者、私道所有者が変わる際に、上に記載の2点を承継する

主にこのような内容の書類になります。

こういった承諾書を取り交わしておくと、安心して土地を購入することができますよね。

また、土地や建物を売りたいという場合にも有利です。

分筆して持分を得ておくのがおすすめ!価格は交渉次第

前項のような方法であれば接道が私道であっても土地を売買しやすくはなりますが、やはりベストなのは私道の持分を得ることです。

それでは、どのようにして私道の持分が得られるのでしょうか。

通常、土地は「筆」という単位で分けられています。

私道の筆がどのようになっているのかはケースバイケースですが、私道が一筆だとして、それを分筆して持分を購入するケースを見てみましょう。

・私道所有者と売買について合意する(価格・面積・方法など)
・私道を測量する
・境界が確定したら分筆の手続きをする
・分筆完了後、売買契約をする
・支払い、登記をする

測量や境界確定などの手続きが必要になるため、測量士への依頼などお金がかかることがあります。

私道持分の価格については交渉次第となることが多いようです。

共有割合で持分を得る方法と私道売買の注意点

前項の分筆して私道の一部を持分として持つ方法のほかにも、私道全体の権利を共有割合の持分として得る方法があります。

共有割合(△△分の○)という持分になります。

・私道所有者と売買について合意する(価格・共有割合・方法など)
・売買契約をする
・支払い、登記をする

測量がない分、前項の分筆する方法よりもシンプルな手続きになりますね。

私道の持分を売買する際に気を付けたいのは、抵当権、根抵当権、差押などの登記がされていないかどうかです。

もしこれらの登記がされているようでしたら、抹消してもらう必要があります。

しかし抹消するのは簡単ではありません。

事前に調査しておくことをおすすめします。

分筆や測量が困難で契約が白紙になってしまうことも考えられます。

そのため、売主と買主に悪意がない場合は損害賠償や違約金が発生しないよう、契約書に白紙解約条項を記載しておくことでトラブルを回避しましょう。

心配でしたら仲介会社に入ってもらうのもおすすめです。

将来に不安を残さないために

普段、道路は通行するだけなので公道か私道かなどと考えることはあまりありません。

しかし、土地や建物を購入する場合は、接している道路についてよく確認すべきです。

もし、接道が私道であったなら、毎日の通行や生活に少しでも心配を残しておかないために、私道の持分を得ておくほうが良いでしょう。

私道の持分が得られないのであれば、土地や建物の購入を再検討するのもひとつの手です。