木造住宅にお住まいだと、床を歩くたびに「キシキシ」「ミシミシ」といった、きしみ音が気になることはありませんか?
このような床鳴りは、古い木造住宅だけに限らず、新築の場合でも起こり得ると言います。
今回は、その原因や対策について、詳しくお話ししていきましょう。
床のきしみ音を改善したい方、少しでも予防したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
木造住宅で「きしみ」が発生しやすい理由!
日本国内で、最もポピュラーな住宅構造と言えば、「木造住宅」ですよね。
木造住宅は、床や壁だけでなく、土台となる柱にも木材を使用しています。
施工費用は比較的リーズナブルで、優れた吸湿性や断熱性を持っているのが特徴でしょう。
また、「暖かみ」や「温もり」といった、優しく穏やかな印象を与えることができるのも、コンクリート造住宅にはないメリットと言えます。
さて、ここから本題に入りますが、木造住宅がきしみやすい理由には「木の性質」が大きく関係しています。
自然素材である木材には、「調湿作用」があります。
調湿作用とは、自らの水分量を保とうと、空気中の水分を吸い込んだり放出したりする作用のことです。
この調湿作用が働くことによって、木材の伸び縮みや、反りが起こってしまいます。
きしみ音というものは、基本的に、木材同士がこすれ合うことで発生しますから、「木材が変形する→木材同士がこすれる→きしみ音が発生する」という構図になっているわけです。
多少のきしみ音は、自然現象とも言えますが、構造や施工法の影響を受けていることも考えられます。
それについては、次項で取り上げましょう。
床がきしむ原因!木造住宅の下地が問題?
ここからは、木造住宅の床がきしむ原因についてお話しします。
その原因は、大きく「構造」と「施工法(材料)」に分けられますが、まずは構造による原因を見てみましょう。
●下地や基礎部分の強度不足・ゆがみ
床を支えている「根太」や「大引き」、「床束」、「束石」という部分に、なにか問題があるかもしれません。
・根太(ねだ):床板を支えるための横木
・大引き(おおびき):根太を支えるための横材
・床束(ゆかづか):大引きを支えるための柱
・束石(つかいし):床束の下に据える石
根太や大引きが配置されている間隔や高さ、強度などによっては、床がきしむ原因となります。
大引きを支えている床束に関しては、数が不足しているときしみやすいようです。
また、束石などの土台が傾いていることも、きしみの原因となります。
床に十分な強度がなければ、人が歩くたびに負荷がかかって、だんだんと傾いていくはずです。
下地や基礎部分が傾くことで、床自体にもゆがみが生まれ、隙間ができてしまうというわけですね。
床のきしみは施工法や材料が原因かも!?
続いては、施工法や使用材料からくる原因をご紹介します。
●接着不良
接着剤で床板と根太を貼りつけている場合に考えられます。
床材と根太がうまく接着されていないと、その分ゆがみは起こりやすくなるでしょう。
●下地の木痩せ
木痩せとは、木材の水分が乾燥して、細くなってしまうことを指します。
床板を支える木材が痩せると、そこに隙間が生じ、きしみ音の原因となります。
●釘から音が出ている
フローリング床の場合、固定するための釘がゆるんで音がしているかもしれません。
また、下地と釘がこすれ合っている可能性もあります。
●フローリングの変形
下地だけではなく、フローリング自体が変形してしまうこともあります。
温風の出るヒーターやホットカーペットなどの暖房器具を使用していると、変形しやすくなるので注意が必要です。
●接合部分の膨張
フローリングの接合部でも、膨張や伸縮は見られます。
この現象は「実鳴り(さねなり)」とも言い、接着剤を注入すると改善する場合があります。
そのほかには、木造住宅の場合、シロアリなどの「害虫被害」が影響していることも考えられるでしょう。
キッチンやバスルームなどの水回りは、シロアリが好みやすい場所です。
このように、原因となるものはたくさんありますから、特定するのは至難の業です。
床のきしみ音を根本から改善するためには、どうすればいいのでしょうか。
床のきしみを直したいなら業者やハウスメーカーに相談!
床のきしみ音は、原因の特定が難しいものです。
木造住宅となると、素人目では余計に見極められなくなります。
また、自分で修復しようとして、もっとひどい状態になっては元も子もありませんよね。
そこで、専門のリフォーム業者へ相談してみるのがおすすめです。
床のリフォーム事例が豊富な業者を選び、必ず見積もりを取りましょう。
アフターフォローがしっかりとしていて、丁寧に対応してくれる業者を選んでください。
調べてみたところ、フローリングの張り替えなら、工事費込みで10万円程度(居室/6帖)と設定している業者がありました。
また、新築住宅の場合は、保証期間が設定されているはずなので、早めにハウスメーカーへ問い合わせてみてください。
そのまま放置してしまえば、被害が深刻化する恐れがありますので、まずは点検だけでもしてもらいましょう。
木造住宅は要注意!湿気対策できしみ音を防ぐ
ここでは、床のきしみ音を防ぐために「湿気対策」の方法をお伝えします。
特に木造住宅は、湿気の影響を受けやすいので、以下のことに気をつけてみてください。
【換気をする】
晴れた日には、必ず換気する習慣をつけておきましょう。
また、梅雨の時期には「除湿器」を利用するのがおすすめです。
【フローリングは水拭きしない】
基本的には、フローリングに水拭き掃除は不向きですが、もし水拭きが必要なときは、硬く絞ってから拭くようにしてください。
また、そのあとはしっかりと乾拭きしましょう。
【水をこぼしたらすぐに拭き取る】
フローリングに水をこぼしてしまったら、放置せずにすぐ拭き取ってください。
水分が染み込んでしまうと、木材の劣化につながります。
【ワックス掛けをする】
木材の表面を保護することも重要です。
フローリング専用のワックスは、定期的に掛けておきましょう。
【カーペットを敷く】
床を保護するという目的では、カーペットやマットを敷くことも有効です。
傷のつきやすいテーブル下やイス下には、厚手の生地がおすすめです。
市販のきしみ音対策アイテムをチェック!
これまで、木造住宅がきしみやすい理由や原因、湿気の対策方法についてお伝えしてきました。
最後になりますが、きしみ音の原因が「フローリング接合部分の膨張(実鳴り)」と確定しているなら、自力での補修も可能になります。
そこで、市販のきしみ音対策アイテムをいくつかご紹介します。
【高森コーキ:床鳴りピタット】
実鳴りを解消するための、特殊樹脂補修材です。
フローリングの合わせ目に注入することで、ゼリー状に変化し固まります。
【コニシ:ボンド フロアメンダー】
耐水性に優れている、エポキシ樹脂系の接着剤です。
床の補修だけでなく、木工品の強度回復、ひび割れ・隙間補修、アンカーボルト類の固着などにも使用できます。
【ハウスボックス:床鳴り止まるんです】
こちらの商品も注入タイプで、実鳴りを解消する効果が期待できます。
環境ホルモンを含まないため、身体にも環境にも優しい補修材でしょう。
木造住宅のきしみ音にはさまざまな原因が考えられる!
木造住宅は基本的に、木材で構成されているので、木の性質による「変形」が起こります。
そのため、多少のきしみ音なら仕方のないことと言えそうですね。
しかしながら、構造や施工法、害虫が原因となることもありますので、気になる方は調べてもらったほうがいいかもしれません。
また、普段から湿気対策を心掛けることも忘れてはならないでしょう。