自宅を建てる土地が商店街の中にあったり人通りの多い道に面していたりする場合、1階を貸店舗にした店舗併用住宅を建てて賃貸収入を得たいという人は多いでしょう。
また、1階を店舗にして開業したいというケースもありますね。
店舗併用住宅にお勧めなのは鉄骨造です。
今回は、鉄骨造で店舗併用住宅を建てる際の構造の違いや坪単価の比較、建築する会社やローンの注意点などについて詳しくご紹介します。
鉄骨造には二種類ある!それぞれの特徴や坪単価を比較
鉄骨造を建てる時にまず注意したいのは、鉄骨造には二種類ありそれぞれ特徴が違うことです。
鉄骨造には「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」があります。
一般的に「鉄骨造」というと重量鉄骨造のことを指します。
重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違いは、使用されている鉄骨の厚みです。
重量鉄骨造は鋼材の厚みが6mm以上のものを使用しており、軽量鉄骨造は6mm未満の薄い鋼材を使用しています。
軽量鉄骨造の特徴は、重量鉄骨造に比べて強度が弱いため壁部分にブレスと呼ばれる筋交いを入れる必要があることです。
軽量鉄骨造はブレスの入った壁を短いスパンで配置する必要がありますので、広い空間を造るのには向いていません。
店舗面積が小さい2階建てを建てるのに向いています。
一方重量鉄骨造の特徴は、厚みのある鋼材を使うため広い空間の天井を支えることが可能です。
店舗面積が大きい3階建て以上の建物を建てるのに向いています。
重量鉄骨造と軽量鉄骨造の坪単価を比較すると、軽量鉄骨造のほうが割安です。。
坪単価を抑えるには軽量鉄骨造!店舗併用住宅はどこに依頼すればいい?
軽量鉄骨造で店舗併用住宅を建てる時は、ハウスメーカーに依頼するのがお勧めです。
2階建てで店舗面積がそこまで大きくなければ、軽量鉄骨造は構造的に問題ありません。
では、3階建て以上の建物を建てたい場合や面積の大きい店舗にしたい場合はどうでしょうか。
これはハウスメーカーによるのですが、軽量鉄骨造では3階建て以上の建物や広い空間のある設計に対応していない場合があります。
各ハウスメーカーに確認してみましょう。
軽量鉄骨造で店舗併用住宅を建てる場合の坪単価は、ハウスメーカーによってかなりの差があります。
一般的に大手のハウスメーカーは坪単価が高めです。
もしコストをより抑えたい場合には、ローコストメーカーにも軽量鉄骨造を扱っている会社がありますので、視野にいれるとよいでしょう。
広い店舗を造るなら重量鉄骨造!店舗併用住宅はどこに依頼すると良い?
重量鉄骨造で店舗併用住宅を建てる時には、ハウスメーカーか工務店に依頼するのがお勧めです。
重量鉄骨造を取り扱っているハウスメーカーは、店舗併用住宅に適した商品を展開しているところがほとんどです。
ハウスメーカーに依頼する場合のメリットとしては、品質や工期が安定していること、トレンドを押さえたデザインを提供してくれるところです。
デメリットとしては、坪単価が高くなることです。
特に大手の鉄骨系ハウスメーカーの重量鉄骨造は、坪単価100万円を超える場合もあるようです。
対して工務店に依頼する場合のメリットですが、ハウスメーカーに比べてコストが安いことです。
また、設計や仕様設備についての自由度が高いこともメリットです。
デメリットとしては、ハウスメーカーに比べて工期が長いことや、デザイン性が間に入る設計事務所に左右されるということなどが挙げられます。
工務店の場合は規格の商品やデザインがないため、良くも悪くも施主が全て決める必要があります。
そのため、信頼できる会社や担当者をしっかりと選ぶことが重要です。
鉄骨造の店舗併用住宅ではどんなローンを組むの?
鉄骨造の店舗併用住宅を建てる場合、住宅ローンを使うことはできるのでしょうか。
原則として店舗併用住宅を建てる場合、建築費の総額に対しての住宅ローンを組むことはできません。
住宅ローンはあくまで自宅を建てる場合に借りることができるものなので、自宅に併設された店舗部分については事業用ローンを組むことになります。
ただし、店舗部分の面積が建物全体の半分を超えていなければ、銀行によっては住宅ローンとして取り扱っている場合もあります。
これは銀行によって判断が変わりますので、必ず確認をしましょう。
事業用ローンを借りる場合には、銀行に事業計画を作成し、提出する必要があります。
自分で開業する場合にはその事業計画書を、店舗を賃貸する場合には賃貸の収支計画書を作成します。
事業用ローンは採算が悪いと判断されれば融資が下りません。
しっかりとした事業計画になるよう、坪単価や内装費など見直せるところがないか確認しましょう。
店舗を賃貸する場合の内装仕上げは必要?内装工事の坪単価を抑える方法は?
貸店舗というと、内装仕上げをしないで壁や床や天井がむき出しの状態を思い浮かべる人もいるでしょう。
そのような壁や床や天井がむき出しの状態をスケルトンといいます。
鉄骨造の場合、壁は石膏ボードむき出し、床はALC板、天井は開いていて配管が見えているような状態です。
一般的にはテナントが内装工事をするため、このようなスケルトンの状態で引き渡します。
しかし、店舗面積が小さく店内配置にあまりバリエーションがないような場合や業種が固定されてくるような場合には、壁と床と天井、照明、トイレ、エアコン、ミニキッチンまでを設置する事務所仕上げにする方法もあります。
事務所仕上げにすることによって、テナントの幅が広がったり賃料が上がったりする場合があります。
内装工事の坪単価を抑えるには、以下のような方法があります。
・トイレやミニキッチンの配置を工夫し、できるだけ室内の壁を増やさないようにすること
・エアコンや照明など、できるだけ業務用ではなく家庭用の設備を使うこと
内装工事をいれるかどうか、またどこまで工事をすべきかは、想定されるテナントの業種によって異なります。
例えば飲食や小売り店、美容院などはテナントによる内装工事が必須になることが多いです。
逆に病院や学習塾、クリーニング屋などは事務所仕上げを望む場合もあります。
テナントの市場も踏まえながら、しっかりと検討することが大切です。
店舗を賃貸する場合の賃料付けはどうやってすればいい?
店舗の賃料付けは、立地や面積だけでなく、間口や構造、内装設備といった細かいことを考慮して行います。
構造で言えば、重量鉄骨造より軽量鉄骨造のほうが坪単価は割安ですが、その分坪当たり賃料も割安になる場合があります。
正確な賃料付けをするためには、不動産会社に査定を依頼することをお勧めします。
依頼する不動産会社は、二社以上あるといいでしょう。
一つは、地域の不動産会社に依頼しましょう。
建築地が駅近辺や商店街の中にあるような場合、近隣にある不動産会社が賃料相場をよく知っていることが多いです。
もう一つは、ハウスメーカーや工務店に不動産会社の紹介を頼む方法があります。
普段から店舗併用住宅を建てている会社でしたら子会社や不動産会社があるため、ハウスメーカー経由で依頼するといいでしょう。
鉄骨造の店舗併用住宅は立地や計画に合わせて構造の選択を
鉄骨造で店舗併用住宅を建てる場合、重量鉄骨造と軽量鉄骨造の構造の違いや坪単価の比較、建築する会社やローンの注意点などについてご紹介しました。
コストを抑えたい場合には軽量鉄骨造、広い店舗を造りたい場合は重量鉄骨造と、それぞれ特徴がありますので立地や計画に合わせた構造を選択しましょう。
また、店舗を造る場合は開業でも賃貸でも事業となりますので、収支計画やローンについては十分注意が必要です。