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アパートで壁掛け時計の穴を空けた場合原状回復義務がある?

2019.1.26

アパートなどの賃貸で、壁掛け時計やフックを取り付けたい。

でも、穴の跡がついてしまったら…。

部屋を出るとき、どのくらい修理費を請求されるのか心配。

思わぬトラブルに発展しないよう、ルールや注意点を紹介します。

アパートで壁掛け時計用にあけた穴、ガイドラインによると

アパートなどの賃貸で、壁面を有効に使うためにも、壁掛け時計やフックを取り付けたい、ということはよくあります。

また、故意ではないにしろ壁面に穴をあけてしまった、ということがあるかもしれません。

まずは、賃貸のルールやガイドラインを知っておきましょう。

国土交通省による原状回復ガイドラインによると、借主の故意・過失、善管注意義務違反は借主、そうでない限りは貸主の負担、とされています。

『善管注意義務』とは、『善良なる管理者の注意義務』という意味で、一般的に要求される程度の注意義務、といわれています。

壁等のクギ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のもの)や、借主が天井に直接つけた照明器具の跡は借主の負担となります。

クロスについては6年経つと減価償却され、価値は1円まで下がります。
(平成19年以前の契約では10%)

契約書類上、特約に『クロス交換費、〇万円は借主負担』と明記されていないでしょうか。

この場合、特約は有効となり、上記原則にかかわらず、退去時、借主の負担となることがあります。

契約事項を確認することで、修繕義務の範囲が見えてくるのではないでしょうか。

アパートでは穴の修繕義務が穴の大きさで変わる?

国民生活センターでは、原状回復について、多くのトラブルが報告されています。

考えられる問題として、貸主、借主双方で負担する範囲の認識にずれが生じていることがあげられるでしょう。

また、特約について、回復費用の算出方法も、借主が納得のいかない方法で一方的に提示されている場合もあります。

一番トラブルを生じやすいことは、退去時に行う現状確認が不十分であったり、確認した記録が残っていないため、検証できない、というこではないでしょうか。

アパートなどの賃貸契約では、壁掛けによる穴でも、穴の大きさ、程度によって修繕義務が貸主、借主と異なります。

この点を踏まえて、貸主、借主はできるだけ現状を共通で認識しておくことが大切です。

もし、契約時に納得のいかない条項があれば、ガイドラインなどを示して、事前に交渉が必要になるかもしれません。

のちにトラブルに発展しないためにも、入居時にできるだけ双方が共通の認識を持ち、記録としての残しておくことが必要です。

アパートで壁掛け用にあけた穴を自分で補修できる?

ガイドラインや契約内容を確認すると、下地ボードに影響のない、画びょうやピン穴はそう神経質にならなくてもよさそうです。

目立つクギ穴やねじ穴がある場合、今はさまざまな補修材が入手できますので、自分で穴埋めをしてしまう器用な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ただし、下地ボードの交換が必要なほどの穴の場合、退去の立会いとき、補修箇所にも修繕が必要、という指摘があれば、修繕費は負担しなければなりません。

補修を自ら行ったとしても、修繕費を請求される可能性があることを忘れないでください。

また、自分で補修し、かえって目立ってしまう、失敗から通常の修繕費より過分にかかるなどという事態にもなりかねません。

このようなことから、大きな穴の場合、独自の判断で修理することは、できれば控えておいたほうがよいかもしれません。

人が生活をする以上、通常の生活を送っていても、なんらかの故障や破損はつきものですが、あくまでも所有者は貸主です。

自分で何かをする前に、まずアパートの貸主や管理会社へ相談されることをおすすめします。

くぎやネジで壁掛け用の穴をあける前に

アパートの壁面には、主に化粧合板もしくは石膏ボードが使用されています。

合板に画びょうを刺してもすぐに抜けてしまう、何度も刺すと抜き跡が増えていきます。

アパートでは壁掛け時計や壁掛けフックはあきらめなければならないのでしょうか。

そんなことはありません。

カレンダーやポスターなどを壁に掛けることは、通常の範囲内でしょう。

現在では壁面に負担をかけずに、時計や額などを掛けられるグッズがあり、ホームセンターやインターネットショップで入手できます。

・コクヨ 粘着剤「ひっつき虫」

穴をあけずに貼ってはがせる粘着剤。

・アッシュコンセプト「ニンジャピン」
 
ピン部分がv字になっており、穴が目立たせません。

・ハイパーフック「かけまくり」

種類によっては7kgまで荷重でき、石膏ボード用画びょうでフックを固定します。

これらは、必要なものを掛けることができ、なおかつ傷が目立たない工夫がされています。

壁面の素材に合わせて選択することで、壁面の傷を最小限におさえながら有効に利用できるのではないでしょうか。

壁掛け以外のカスタマイズにも要注意

ウェブサイトでは、さまざまなカスタマイズの手法がわかりやすく紹介されています。

手軽な費用でアパートのカスタマイズができることは、賃貸生活を楽しみ、豊かにすることでもありますね。

ここで注意が必要なのですが、カスタマイズ素材がすべての生活環境にマッチしているとは限らない、ということです。

湿気の多い少ない、日当たりによる室内温度、地域による気候差など部屋の環境は著しく異なるのです。

特にはがせるタイプのテープやクロスでも、環境や素材、貼り続けた期間によってははがせなくなる、跡が残るなどのリスクがあります。

・退去時、きれいにはがせず、無理に擦ったために下地を傷つけてしまった。
・作業ができなくて結局業者へ頼んだ。
・剥離作業の手間が増えたために、ハウスクリーニング代が加算された。

実際にこのような例があります。

このようなことにならないために、壁掛け跡の穴だけではなく、クロスにも注意をしましょう。

手軽だからと安易に手を付けることは、危険をともなう、という意識を持つことも大切なことではないでしょうか。

自分であけたものでなければ、その穴の修理義務はありません

アパートなどの賃貸ルール、ガイドライン、契約を知ったうえで、可能な範囲でカスタマイズする。

それには、入居前にしっかりと部屋の現状を把握しておく必要があることがわかりました。

もし、入居後自分がつけていない壁掛けの穴を見つけた場合、どうすればよいでしょうか。

自分がつけたものでない限り、修繕義務を負うことはありません。

管理会社もしくは貸主に連絡をとり、自らつけたものではないことを認識してもらわなければなりません。

面倒だと感じても、退去時、他人の修繕費を負担しないため、入居後できるだけ早い時期に連絡することをおすすめします。

退去まである程度の期間の経過が見込まれますので、知らない間に敷金から引かれないよう、書面などで記録を残しておきましょう。

また、そのような申し出に対応しない管理会社や貸主があるかもしれません。

そのときは、内容証明郵便などを利用するなどして、記録を残す必要があります。

アパートで壁掛け用の穴をあけるときに注意すること

借主負担:くぎ穴、ねじ穴跡など、下地ボードの交換が必要な程度の穴

借主負担特約有効:ただし、下記特約要件を満たしていること

・客観的、合理的理由が存在すること
・借主が義務を負うことを認識していること
・借主が義務負担の意思表示をしていること

入居前に双方で、物件状況、原状回復について契約内容をよく確認をしておくことがトラブル予防となる

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