せっかく気に入ったアパートを見つけても、やむを得ない事情でキャンセルを避けられないことがあります。
そんな急なキャンセルによって、貸主と借主の間では、キャンセル料によるトラブルが生じることも少なくありません。
どの時点のキャンセルであれば、預け金が戻ってくるのかご存知でしょうか?
そこで、この記事では、アパート契約に関するキャンセル料について詳しくご説明していきます。
アパート契約のキャンセル料とは?
せっかく時間をかけて見つけたアパートでも、思いもよらない事情でキャンセルを避けられないこともありますよね。
アパートを含めた賃貸物件には、契約後の急なキャンセルがあった場合、当然「キャンセル料」が発生します。
この「キャンセル料」とは、契約違反によって生じるもので、つまり「違約金」を指します。
したがって、アパート契約後のキャンセルは、例え入居前であったとしても、「違約」と認められることが多いため、支払った契約金が全て返金されることは難しいと言えます。
しかし、契約前のキャンセルであれば、当然支払ったお金は全て返金されます。
そのため、いつをもって契約日とするのか、どの時点までならキャンセル料がかからないのか、事前に知っておくことが重要です。
ただ、この「契約成立」については、不動産屋や大家さんによって解釈が異なる場合があり、これが金銭トラブルを招くこともあります。
それでは、賃貸物件における申込日や入居日、そして契約日など、それぞれの違いについて確認していきましょう。
アパート契約に関する日をそれぞれ知っておこう!
アパートなどの賃貸物件を契約するとき、「申込日」や「入居日」、「契約日」などの羅列を目にする機会があることでしょうが、それらの違いについてご存知でしょうか?
そこでここでは、アパートの申込日から契約日まで、契約に関係する日を順にご説明していきます。
①申込日
申込みをした日です。
ここで提出した書類を元に、入居審査が行われます。
②賃料発生日
この日から家賃が発生します。
家賃発生日、入居日とも言われます。
③入居日
入居日は「賃料発生日」と同じ意味を指しますが、「実際に住み始める入居日」と解釈することもあり、不動産屋や大家さんによって異なることがあります。
この解釈の違いから、トラブルが生じる場合もあるので、よく確認しておきましょう。
④契約日
正式な契約手続きをする日です。
しかし、これも「賃料発生日」と解釈される場合があるので、注意が必要です。
以上が入居に関係する日になります。
上記にあるように、不動産屋や大家さんによっては解釈が異なる場合があるので、契約前には十分に確認をしておくことが大切です。
では、上記のそれぞれの違いが分かったところで、次にいつをもって契約が成立し、キャンセル料が発生するするのか見ていきましょう。
いつをもってアパートの契約は成立とするの?
前項では、アパート契約に関する日をそれぞれご説明してきました。
それを踏まえてキャンセル料について考えるとき、一番重要なのは「いつをもって契約成立なのか」を知ることです。
先で述べたように、キャンセル料のような違約金が発生するのは、契約成立後にキャンセルをした場合です。
では、「いつをもって契約が成立」するのでしょうか?
これについても、不動産屋や弁護士によって見解が異なる場合があり、断定するには難しく、曖昧と言えます。
まず、基本的には、借主が契約書に著名・捺印をする「契約日」に、契約が成立したとみなされることが多いです。
しかし、民法においては、借主と貸主が意思表示によって互いが納得すれば、契約が成立することになっているので、借主が申し込みをして、貸主が審査を通した時点で、契約は成立したと認められます。
これを、諾成契約(だくせいけいやく)と言い、つまり、借主が契約書に著名・捺印をする前でも、契約は成立するとみなされるのです。
そして、それに加えて契約を成立させるために、仲介業者は以下の三つを借主に対して行う必要があります。
①宅地建物取引主任者証の提示
②宅地建物取引主任者による重要事項の説明
③重要事項説明書の交付
上記の行為があれば、契約は成立したと認められる場合があると言えます。
ただし、先に述べたように、基本的には、「借主が契約書に著名・捺印をする」=「契約成立」とみなされることが多いです。
したがって、「契約成立の定義」においては、それぞれの不動産屋や大家さんによって解釈が異なるので、事前によく確認するようにしましょう。
どのようなお金がキャンセル料になるの?
前項では、「契約成立の定義」については、「その不動産屋や大家さんによって違う」とご説明してきました。
では、仮にアパートのキャンセルが契約後とみなされた場合、どのようなお金がキャンセル料として支払われるのでしょうか?
それについては、まず、申込時の「申込金」について見ていきましょう。
アパートの契約を正式に行う前に、いくつかの段階を踏んでいきます。
①借主による「入居申込書」の提出
②その情報を元に、貸主は入居審査を行う
入居審査は、基本的に2~3日、遅くとも1週間までには終わり、結果が出ます。
その結果が出るまでに、「申込金」を預けることになりますが、これは敷金や礼金の一部になります。
この「申込金」は、契約前に支払うもので、物件の仮押さえを目的とする預かり金と言えます。
したがって、契約後にキャンセルをした場合、この「申込金」と、更に「手付金」を、そのままキャンセル料として支払うことになります。
では次に、「手付金」についてご説明していきます。
契約後のキャンセル料に含まれる「手付金」とは?
では早速、「手付金」についてご説明していきましょう。
貸主による入居審査が終われば、正式契約に入ります。
正式契約では、先に述べたように、宅地建物取引主任者による重要事項の説明や、契約内容を確認を行います。
そして、契約にサインをすれば、借主は初期費用である「手付金」を支払います。
つまり、「手付金」というのは「契約後」に支払うものになります。
したがって、「手付金」を支払った後のキャンセルは契約成立後なので、「手付金」はキャンセル料とみなされ戻ってきません。
そのため、重要事項説明の時点で不明なことがあれば、必ずよく確認することが必要です。
また、アパートの不動産屋によっては、契約前に「手付金」の支払い要求をするところがあります。
先にも述べましたが、「手付金」とは本来「契約後」に支払うものなので、その「契約前の手付金」の意味をしっかり確認しておきましょう。
契約前のキャンセル料トラブル!それを避けるためには?
これまでの説明で、アパートを契約する際には、いつをもって契約成立するのか、いつまでなら返金が可能なのかを、確認することが重要であると分かりましたね。
しかし、契約が不成立であるにも関わらず、「預けた申込金を返金できない」とする不動産屋もあります。
原則的に、契約前のキャンセルがあった場合、不動産屋は預かり金を返還することが、法律で定められています。
もし、上記のように返金ができないと言われたら、まずはその理由を確認し、その理由が法律に反していれば、国民生活センターなどに相談してみましょう。
また、このようなキャンセル料トラブルを避けるためには、申込金を預ける際に、「預り証」を発行してもらい、保管しておくとベターです。
これは領収証とは異なるので、もし領収書しか発行されない場合は、「預り証として」と記入してもらい、更に日付や担当者名の記載もお願いするのが良いでしょう。
いつをもって契約が成立するのか聞いておこう
アパート契約のキャンセル料については、「いつをもって契約成立とするのか」が重要で、その契約前後のキャンセルによって、キャンセル料の有無も変わってきます。
また、不動産屋や大家さんによって、「契約成立」の解釈も変わってくるので、事前の確認が必要になってきます。
いずれにしても、一番良いのは契約途中のキャンセルがないことですが、やむを得ないキャンセルがあった場合は、上記を参考に対応してみてくださいね。