軽量鉄骨造のメリット・デメリットは?賃貸をお考えの方必読

アパートなどの賃貸物件を見ていると、建物の構造の種類に「軽量鉄骨」と書かれているのを見かけることが多くなっています。

文字だけを見ると、「鉄骨」という言葉が入っているので、やや頑丈そうなイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「軽量鉄骨造の建物とはどのようなものなのか」と気になる方のために、建物の構造の種類をはじめ、軽量鉄骨造のメリットやデメリット、賃貸物件を選ぶ際のポイントなどをお話ししていきます。

軽量鉄骨を含む建物の構造の種類について

軽量鉄骨造の賃貸物件についてのお話をする前に、建物の構造についてお話ししておきましょう。

建物の構造には、大きく分けて4つの種類があります。

●木造

木の柱に壁を貼っていくという構造で、柱の間には断熱材や防音材を入れます。

また、地震による力や風力などの横からの力にも耐えられるように、筋交いや構造用合板などを使用し、定められた量以上の耐力壁や耐力床を作ることが決まりとなっています。

木造の場合は、建築費や解体費が他の建築法と比べ時間がかからず、材料費も安いことから、比較的安めに建築できるというメリットがあります。

●軽量鉄骨造・重量鉄骨造

柱や梁(はり)の骨組み部分には鉄骨を使用していますが、それ以外の材料には木を用いているのが主流となっています。

そのなかでも、使用する鋼材の厚さが6mm未満の建物が「軽量鉄骨造」で、厚さが6mm以上の建物は「重量鉄骨造」とされています。

鋼材の厚みが薄いため、ビスを使用しての接合が主流で、外断熱工法が標準となっています。

そのため、断熱性能が高く「高断熱・高気密・高強度」と、3つの特徴があると言われています。

●鉄筋コンクリート造(RC造)

大きな特徴として、「耐火性」と「遮音性」が高いことが挙げられます。

建物の核とされる柱や、梁などの主要構造部を太い鉄筋で組み上げて、補強した型枠にコンクリートを流し込むという施工をしているので、地震にも強いとされています。

●鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

名前を見て分かるように、重量・軽量鉄骨造と鉄筋コンクリート造の両方の特徴を兼ね備えています。

両方備えている分、コストは割高になるデメリットはあります。

また、柱・梁・床・壁には、鉄骨と鉄筋が使われています。

コンクリートの芯部に鉄骨を入れることにより、建物全体を補強しているので、鉄筋コンクリート造よりも高い耐震性・耐火性・遮音性を兼ね備えることが可能になっています。

賃貸物件によくある軽量鉄骨造の特徴とは?

軽量鉄骨造の多くは、まず工場で製造された部材を現場で組み立てるという方式の「プレハブ工法」と呼ばれる方法がとられています。

部材を大量生産できるので、コストを下げられ、建築現場での作業も軽減できるため、工期も短く終了するという特徴があります。

これは、戸建てだけではなく、二階建の賃貸アパートを建築する際にもよく利用される方法です。

2011年に起きた東日本大震災以降は、建物の耐震性や強度が特に注目されてきていて、家を建てる場合も、耐震性に優れていることから、従来の木造よりも軽量鉄骨造が見直されるようになりました。

先ほどもお話ししたように、軽量鉄骨造の建物は、工場で製造された部材を使用して組み立てられます。

そのため、「工場を持っているハウスメーカーでないと造ることができない」ので、木造の場合と比較すると、軽量鉄骨造で建築することのできる会社は限られてしまうでしょう。

次に、軽量鉄骨造のメリットとデメリットをさらに詳しくお話ししていきます。

賃貸物件探しの参考に!軽量鉄骨造のメリットデメリット

これまでのお話で、軽量鉄骨造やその他の建築の構造の特徴はお分かりいただけたかと思います。

ここでは、さらに、軽量鉄骨造のメリットやデメリットをご紹介します。

●メリット

先ほどお話ししたように、軽量鉄骨造の場合は、工場で事前に部材を製造しています。

工場で規格化されたものを大量生産することができるので、品質を安定させ、一定の水準を保つことが可能になります。

その部材を現場で組み立てるだけなので、建物の仕上がりも作業員の腕に左右されることはありません。

前述しましたが、工場で前もって部材を製造しているので、工期も短く済むということから建築費を低く抑えられるため、それが賃貸物件の場合の賃料にも反映されている場合が多く見られます。

●デメリット

木造に比べると、通気性があまり良くなく、断熱性も低いです。

冷暖房を使用したり、断熱性を高めるために対策を考えることも必要になるでしょう。

防音面は、木造よりは少し良い程度で、耐火性もそれほど高いものではないと言われています。

しかし、床や壁に、吸音性の高い素材や緩衝材を入れることによって、防音効果と耐火性を高めることも可能になります。

近年では、吸音性や耐火性のある素材も様々なものが開発されてきたため、建築時に組み込むことにより、デメリット部分を解消することも不可能なことではなくなってきています。

もう少し詳しく知ろう!気になる3つのこと

先ほどご紹介した軽量鉄骨造のメリットとデメリットのなかにも出てきましたが、建物を建てる時や賃貸物件を探している時に気になるポイントとして、次のようなことが挙げられます。

●軽量鉄骨造の耐震性について

軽量鉄骨造の耐震性は、木造よりは優りますが、重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造にはかないません。

しかし、鉄骨は折れにくいので、耐震性としては低くはないでしょう。

ただ、軽量とは言え重量があるため、地震の揺れを感じやすいことはあります。

それでも粘り強く耐えられるので、完全に倒壊してしまうという危険が少ないことはメリットとされています。

●軽量鉄骨造の耐火性

軽量鉄骨造は、摂氏540度程度の熱で急激に強度が失われるとされています。

鉄は高熱に弱いので、耐火性・耐久性ともに低く、万が一家事になった場合は建物が倒壊する危険性も考えられるでしょう。

しかし、前述したように、建築時に耐火性のある素材である「耐火被覆材」というものを組み込むことで、耐火性をかなり高めることが可能になります。

●軽量鉄骨造の防音性

前章で、軽量鉄骨造の防音性は木造よりは優るとお話ししましたが、建築時に使用した素材によっては防音性がかなり低くなる場合もあります。

壁の両側に石膏ボードとクロスだけしか貼られていなかったり、遮音性のほとんどない素材が壁面に敷きつめられているなどの建物の場合は、音漏れが多くなるという可能性が高くなります。

反対に、使われる素材によっては、鉄筋コンクリートレベルの高い防音性をもたせることも可能になります。

軽量鉄骨造のデメリットも了承!賃貸物件を選ぶポイント①

軽量鉄骨造の構造やメリット・デメリットなども把握したうえで、「軽量鉄骨造の物件を探そう」とお考えの方に、賃貸物件を選ぶ際のポイントをご紹介します。

●物件の住人の状況を知る

どのような構造であっても、アパートやマンションというのは、人の声や足音が響きやすいものです。

軽量鉄骨造のアパートの場合は、物件によっては、防音性が低い場合があります。

そのため、次のような点を確認すると良いでしょう。

・小さな子どもやペットなどが暮らしているか

・夜勤をしている方や深夜に帰宅するような方が暮らしているか

それと併せて、過去に騒音トラブルがなかったかどうかを確認することも、防音性や住人の環境を知るための手段の一つです。

騒音トラブルが多い場合は、建物の構造上の問題も考えられますので、他の賃貸物件を検討し直すことも必要でしょう。

軽量鉄骨造のデメリットも了承!賃貸物件を選ぶポイント②

賃貸物件を選ぶ際のポイントは、その物件自体のことだけを知るだけではありません。

次のようなことも調べておく必要があるでしょう。

●周辺環境が静かな場所かどうか

防音性が高い軽量鉄骨造の賃貸物件であっても、アパート周辺の環境によっては、外からの騒音を受けることにもなりかねません。

特に、大きな音がする可能性の高い場所として、次のような所があります。

・駅や線路の近く

・幹線道路沿い

これらが近くにある物件の場合、電車を利用する方にとっては駅が近いのは嬉しいことでもあります。

しかし、一日中電車や車が近くを走っているので、部屋にいる時には騒音として感じるというデメリットもあるでしょう。

また、学校や幼稚園が近くにある場合は、通学の時間帯や日中などに、子どもの声やチャイムの音などでにぎやかになる可能性があります。

その他にも、工場や作業場などが近くにあると、作業音が気になる場合もありますので、稼働時間や音がどの程度聞こえるのかを確認することをおすすめします。

自分が在宅している時間帯の周辺やアパート内から聞こえる様々な音については、音に敏感な方は特に気をつけた方が良いポイントです。

物件によって造りは様々!よく調べて検討を

軽量鉄骨造がどのようなものか、お分かりいただけたでしょうか。

デメリットとして挙げられる点もありますが、そのデメリットに対しての改善策をとられている建物もなかにはあるものです。

軽量鉄骨造の賃貸物件を選ぶ際には、アパート自体のことを確認することが大切です。

他にも、外から聞こえてくる様々な「音」についても事前に確認しておくと、居心地の良い部屋に住むことができるでしょう。