アパートに住んでいても「楽器を演奏したい」「気兼ねなくテレビや音楽を楽しみたい」という方も多いかと思います。
しかしアパートでそのようなことをすると、気をつけても建物の構造や壁の材質、築年数によっては、思っている以上に隣室へ音が漏れてしまうこともあります。
今回は、アパート・マンションなどの賃貸物件での防音対策についてご紹介します。
賃貸物件の防音性は構造や壁、部屋の位置によって変わる
アパートやマンションなどの賃貸物件にお住まいの方ならば誰しもが、
・自分の部屋で発された音が、壁の向こう側の部屋や外などにどの程度漏れているのか
・自分の部屋から漏れた音が、不快で迷惑であると思われているのではないか
・自分の部屋まで隣人が騒音のクレームを言いに来てしまうのではないか
などと心配になった経験が一度はあるかと思います。
そういった心配を取り除く為にはまず最初に、今住んでいるアパート・マンションの遮音性はどの程度なのかというところから考えてみると良いでしょう。
木造築50年というような部屋と、鉄筋コンクリートの新築とではは明らかに後者の方が防音性が高いといえます。
そして2階の部屋よりも1階の角部屋の方が、床や壁から伝わってしまう振動も少なく済むでしょう。
ただ、鉄筋コンクリートの新築物件の1階角部屋に簡単に引っ越せる方であればいいのですが、新しくて質の高い物件に引っ越すには時間と労力、さらにはある程度まとまった資金も必要です。
実のところ私は転勤族ではないにも関わらず、これまでに10回もの引っ越しを経験しており、相当なお金と時間と労力を消耗してしまった過去があります。
合わないからといってやたらと引っ越しはしない方が経済的です。
それでは次に、騒音となる音量とはどのくらいであるのかを説明していきます。
日常生活において防音が必要な騒音レベルとは
日常生活で人間が静かであると感じるのは45dB(デシベル)以下といわれています。
感じ方に個人差はあるものの、賃貸物件で壁一枚を挟んで他人と同じ建物で生活するにあたって、好ましい音のレベルは40-60dBであるようです。
では、音の数値がどの程度のものなのか、具体例を挙げていきます。
・ささやき声で話す 30dB
・図書館の中 40dB
・エアコンの室外機 50dB
・普通の会話 60dB
・掃除機 70dB
・ピアノの音 80dB
・犬の鳴き声 90dB
・自動車のクラクション 100dB
アパートやマンションでは普通に会話する分には騒音となりにくいですが、静かな夜間などに掃除機をかけるなどすると騒音と感じる方が多いようです。
これらの例もお住まいの賃貸物件の構造や、昼間か夜間かによっても聞こえ方は違いますが、一つの目安として覚えておきましょう。
ピアノなどを弾く方はやはり防音対策が必要です。
では実際の対策をご紹介していきます。
賃貸物件での空気音に対する防音対策
テレビやコンポ、ピアノの音色などのように、空気中を伝わり建物の壁や窓を透過して室内に伝わる音を「空気音」と言います。
賃貸物件で騒音の原因となりやすいこれらに対する防音対策ですが、ポピュラーなものとしてはヘッドフォンやイヤホンの装着です。
また、話し声も空気音の一つです。
たまたま年季の入ったアパートの近くを通りかかった時に、そこに住む住人の話し声や歌声などが聞こえてきてしまった、などという経験のある方も多いかと思います。
自分でもお気に入りの音楽を聴いて熱唱していたら、実は歌声が外にだだ漏れだったという事実に気付くとちょっと照れてしまいますよね。
そこでおすすめの方法が、ホームセンターなどで売っている遮音カーテンや隙間テープなどを窓に設置することです。
これにより、部屋の窓から外に出ていく音を漏らしづらくすることができます。
また、賃貸ですと壁一枚を挟んですぐに隣の住人がいるので、そちらにも気を配っていかなければなりません。
部屋の壁に高さのある本棚などを設置したりするといった方法もあります。
これらの方法を併用していくことで、より高い防音対策ができていくことでしょう。
賃貸物件での固体音に対する防音対策
続いて固体音の防音対策についてご紹介します。
固体音とは、壁や床などの構造部分が振動して発生する音で、壁や床を伝わり隣室や階下へと響いてしまいます。
楽器を演奏する場合においては鍵盤をたたく音であったり、ペダルを踏む音が出ます。
小さな子供がいるような家庭では、子供が遊んで走り回ったりすることも多いです。
こういった振動を伴う「固体音」という音を防ぐのは難しいのです。
これは先ほどの空気音とは違い、単純に発される音だけを小さくしても壁や床などから伝わり、隣の部屋へ響いてしまいます。
そこでこの固体音というものを防ぐ為のアイテムをご紹介します。
用意する物は厚めのカーペットと防音シートです。
これらを順に重ねて敷くと良いでしょう。
特にコルク素材の防音シートは防音効果が高いうえに入手も容易であるため、とてもおすすめです。
それでも完全に固体音を防げるわけではありませんが、試してみると大きな違いがわかるはずです。
賃貸物件では十分な防音対策をしても、壁側への配慮は必要
自分でどれだけ気を遣って防音対策をしても、賃貸物件においてはそれでも騒音となってしまうこともあります。
壁を伝わって響く振動、オーディオ機器の音などがどの程度不快に感じるかは人によって差があります。
隣人Aさんにとってはなんとも思わない音でも、隣人Bさんは気が狂いそうになるような騒音と感じるなどというように、本当に人によって受け取られ方は違うものです。
私の経験ですが、午後2時くらいに話し声とさほど変わらないくらいの音量で、部屋で音楽を流していたところ、壁をドンドン叩かれ、その後インターホンが鳴り、苦情を言われた事があります。
その時は本当に人の感覚には差があるのだということを実感しました。
また、たとえ防音対策をしたとしても、過信しすぎないことも大切です。
それで音量が大きくなってしまっては騒音となってしまう場合もありますので、特に夜間などは音量に注意しましょう。
管理者への相談、または防音済みの壁である物件も視野に
世の中には色々な人がいます。
どんなに低姿勢で気を遣っていても、隣人とトラブルになってしまうケースも考えられます。
賃貸物件では、見ず知らずの人達が同じ建物で様々な生活リズムで暮らしています。
特に昼型の人と夜型の人が混在しているようなアパートやマンションの場合では、しっかりと防音していてもトラブルになる可能性もあります。
そんな時は大家さんや管理会社などに、色々な手を尽くしてもトラブルとなってしまっている状況を説明し、相談してみましょう。
第三者に入ってもらうことで解決する問題もあります。
それでも解決が難しいならば、壁や床などに防音対策済みの物件もありますので、いよいよ思い切って引っ越しをするのも手です。
うまく付き合えなそうな隣人の為に時間や労力をかけて疲れてしまうより良いかもしれません。
賃貸物件では防音した上で、相手方を意識した行動を
アパートやマンションなどの賃貸物件での防音対策、壁の向こうの隣人とのトラブル回避についてご紹介しました。
これらの方法も、お住まいの物件の構造や隣人との相性などによっても効果の違いはあるかと思います。
ただ、共通して大切なことは、自身で十分な防音対策を行った上で、音量を抑えるなど配慮することです。
同じ物件に住む方の生活を少し意識するだけで、自然と自分自身の暮らしやすさも変わってくるはずですので、自分のライフスタイルと照らし合わせて、今回の紹介した方法も参考に試してみると良いかと思います。