準防火地域で木造住宅を建てる!外壁は板張りにできるのか?

新築を考えている方のなかには、外壁に板張りをしたい方がいらっしゃるかもしれません。

木の雰囲気が家全体から感じられて素敵ですよね。

しかし、もし新築を建てようとしている土地が準防火地域である場合、事は簡単に進まないかもしれません。

なぜなら、延焼の恐れがある部分には防火構造を施す必要があり、外壁がそれに該当する場合には板張りが難しい場合があるのです。

準防火地域での建築制限や、外壁に板張りができるかどうか考えていきましょう。

外壁に板張りはできないかも?!準防火地域の建築制限

新居を建てるのであれば、土地探しから外構や家の詳細など、順番に決めなければならないことが沢山ありますよね。

せっかくのマイホームですので、自分の希望の家を手に入れたいことでしょう。

中には、外壁を板張りにしたいとお考えの方もいらっしゃいますよね。

しかし、新居を準防火地域で建てる場合には注意が必要です。

準防火地域では、建物を建てる際に建築制限がかけられているからです。

準防火地域での建築制限は、以下の通りです。

・4階建て以上または延べ面積1500平方メートル超え→耐火建築物
・3階建てまたは延べ面積500超え~1500平方メートル以下→耐火・準耐火建築物(プラス諸条件付)
・1・2階建て→制限なし(ただし外壁・軒裏には制限あり)

通常の新築の場合ですと平屋や2階建てが考えられ、その場合の制限は外壁・軒裏にあります。

そのため、外壁に板張りをしたいような場合には、この建築制限に引っかかる可能性があるのです。

準防火地域で家を建てる場合!外壁・軒裏への制限とは?

準防火地域で一般的な2階建てを検討している場合、外壁・軒裏に制限があることをお伝えしました。

ただし、全ての外壁・軒裏に制限がかかっている訳ではありません。

「延焼の恐れがある場合」という条件がありますので、その恐れがない場合には普通の外装・軒裏で構わないのです。

延焼の恐れがある部分というのは、隣地境界または道路中心線から家までの距離で決められます。

1階であれば3メートル以内、2階であれば5メートル以内の部分になります。

もし、隣地境界からみて1階の外壁までの距離が2メートルだった場合、その外壁は建築制限に引っかかり、防火構造にする必要があります。

準防火地域はより制限の厳しい防火地域の周りにあり、住宅などが密集していることが多いですので、隣地境界や道路中心線からの距離を十分空けることは実際には難しいことでしょう。

そのため、準防火地域で家を建てる場合は外壁や軒裏への制限に引っかかりやすく、外壁を板張りにすることは難しい条件になる場合が多いのです。

準防火地域で外壁に板張りはできるのか?

準防火地域では、火災の影響を抑えるために建築規制が設けられています。

そのひとつが外壁・軒裏への制限でしたね。

もし、外壁に延焼の恐れがある場合、壁を防火構造にしなければならないのですが、板張りは基本的に木のため不燃材料にはならず、そのままでは建築制限に引っかかる恐れがあります。

それでは、板張りはすることができないのでしょうか?

まず、延焼の恐れがない外壁に関しては制限がありませんので、板張りでも大丈夫です。

ただし、延焼の恐れがあるような外壁には、クリアしなければならない条件があります。

それは、「壁に防火構造が施されている」ということです。

防火構造の外壁には30分間の遮熱性が求められていますが、このような防火構造を持つ壁であれば、その上に板張りをしてもOKだということです。

防火構造の壁による遮熱と木材の板が持っている遮熱性が加わることによって、壁全体としての遮熱機能が上がると考えられているからです。

そして、壁を防火構造にする材料は国土交通省が告示している材料を使ったほうが許可は通りやすいでしょう。

外壁に板張りをするための防火構造!具体例は?

準防火地域で外壁に板張りをしたい場合には、板張りの内側を防火構造にする必要があります。

防火構造として認められているのには、土壁があります。

土壁は昔から外壁で使われており、防火機能が高いことで知られています。

土壁の防火性の高さにより、板張りをしてもOKということになっているのです。

一般的な構造としては、屋外に面する部分が30ミリの土壁であること、屋内に面する部分は9.5ミリ以上の石膏ボードを張ることになっています。

他にも、土壁以外の外壁でも防火構造として許可が下りているものもあります。

それは、屋外に面する部分をセメント板にモルタル塗りなどで25ミリ以上にし、屋内に面する部分を9.5ミリ以上の石膏ボードで張り付けた場合です。

その他の例としては、屋外に面する部分をモルタル20ミリ以上に鉄鋼・木ずりを重ね、屋内に面する部分を9.5ミリ以上の石膏ボードを挟むような場合です。

また、伝統的な工法である裏返し塗なしの土壁に関しても防火構造として認められています。

土壁30ミリ以上で屋外に面する土壁の表面に、小舞竹・間渡竹・貫などを施すような方法です。

この場合、板張りに使う板の厚みは12ミリ以上という指定もあります。

準防火地域でのその他の制限

準防火地域に住む場合、制限は板張りができるかどうか気になる外壁の部分だけではありません。

こちらでは、その他の制限についてお伝えしていきましょう。

まず、準防火地域では、屋根に不燃材料を使う必要があります。

瓦は不燃材料として認められていますので、瓦を使ってあるだけでこの制限はクリアできます。

外壁と軒裏に関しての制限についてはこれまでご説明してきた通りで、延焼の恐れがある場合には防火構造にする必要が出てきます。

また、外壁の開口部に関しても制限があります。

窓やドア・換気扇が外壁の開口部になりますが、この部分が延焼の恐れがある場合には防火設備を設ける必要があるのです。

窓への対処法としては、網入りガラス窓に替える、シャッターを付ける、防火窓を取り付ける方法があります。

ドアに関しては防火戸にする必要があり、鉄製のものにするか認定を受けたもののみ許可が下ります。

換気扇などの開口部に関しては、防火ダンパーを取り付けるなどの処置が必要となるでしょう。

準防火地域かどうかは事前に調べよう

ご説明してきたように、準防火地域で家を建てる場合には建築制限があり、その対応のために普通の土地に建てる場合よりも建築費用が割高になる可能性が高いです。

できれば、土地が防火地域・準防火地域でないか事前に確認しておけるといいですよね。

土地探しの段階であれば、どのような土地があるかの確認は大切です。

最初から準防火地域でないと分かっていれば、外壁に板張りができるかどうかなどと気にする必要もないのです。

それでは、土地が防火地域・準防火地域になっているかいないかの確認はどこでできるのでしょうか?

土地が決まっているのであれば、不動産会社や施工会社に依頼して調べてもらうことができますが、自分で簡単に確認することもできます。

それは、インターネットなどで公開されている各自治体の都市計画図を確認するのです。

各自治体によって表示方法に差があるかもしれませんが、どのような地域なのか色分けして分かるようになっているはずです。

具体的な見方としては、凡例を確認することによってどの色がどの地域か分かることができます。

防火地域であったり準防火地域の確認は建築費用に大きく関わってきますので、必ず確認しておきましょう。

準防火地域でも外壁に板張りを使うことができる

準防火地域で外壁に板張りを使いたい場合、準防火地域の建築制限を確認することが必要になります。

準防火地域では、延焼の恐れがある場合、その部分を防火構造にする必要があるからです。

準防火地域で外壁に板張りが使えるかどうかというと、土壁など決まった条件下であれば使用することができます。

ただし、準防火地域では、外壁だけでなく軒裏や屋根・窓・玄関ドアなどにも建築制限があるため、建築費用が上がってしまう可能性が高いです。

事前に準防火地域であるかどうかの確認も大切になります。