準防火地域とは防火地域の周りにある地域のことで、火災の危険性が高いため建築規制が設けられています。
もし土地が準防火地域であったら、新築する際にいくつかの制限が出てきます。
例えば、窓を防火戸にしなければならないというものがあります。
防火戸にするには、網入りガラスやシャッターを取り付けるという方法が一般的です。
この記事では準防火地域とは何かや、制限にはどういうものがあるのかお伝えします。
窓に制限あり!防火地域と準防火地域
もし家を建てようとしている土地が準防火地域にあたる場合、建物には建築規制がかけられるため、自分の好き勝手に新居を建てるわけにはいかないでしょう。
準防火地域は防火地域に指定されている地域の周囲の地域が指定され、火災の危険性から建築に制限がかけられています。
ここで防火地域とは、都市の中心部にあって商業施設などが立ち並ぶ地域を指します。
建物が密集しているだけでなく人や交通量が多いため、火災が起きると大きな被害が予想されますよね。
そのために、防火地域では厳しい建築規制が設けられているのです。
具体的には、3階建て以上か延面積が100平方メートルを超える建物は耐火建築物にしなければいけないと決められています。
また、1、2階建てで延面積が100平方メートル以下の建物でも、耐火建築物か準耐火建築物にしなければなりません。
一方、準防火地域の建築制限は、4階建て以上か延面積が1,500平方メートルを超える建物を耐火建築物にすることです。
また、延面積が500平方メートル以下の場合、一般的な木造2階建てや決められた条件を満たした木造3階建ては建てることができます。
ただし、防火地域・準防火地域では共に窓に建築制限がかけられています。
シャッターを設置するなど対処法がありますので、次項でお伝えしていきましょう。
準防火地域で家を建てる!具体的な制限とは?
準防火地域に住む場合、一定の条件を満たせば一般的な2階建て木造の家を建てることができます。
それでは、具体的にどのような制限があるのかみていきましょう。
〇屋根
屋根は瓦などの不燃材料を使う必要があります。
〇外壁・軒裏
外壁や軒裏で延焼の恐れがある部分は、防火構造にする必要があります。
具体的には30分間の耐火性能が求められています。
なお、延焼の恐れがあると見なされる部分の条件は、「隣地境界線や道路中心線などから1階では3メートル、2階では5メートル以下の部分」です。
〇外壁の開口部
外壁の開口部、つまり窓やドアにあたりますが、延焼の恐れがある場合は防火設備を施す必要があります。
対処法は以下の通りです。
・窓を網入りガラスなどでできた防火戸にする
・玄関は鉄製か、防火認定を受けた防火戸にする
・換気扇などの開口部は防火ダンパーを使用する
以上のように、窓は普通の窓を使うことが許されておらず、基本的には網入りガラスを用いることが求められています。
しかし、網入りガラスでは見栄えが良くないと気にする方もいらっしゃいますよね。
そういう方には網入りガラスではなくシャッターを設置する方法があります。
準防火地域の窓!普通の窓にしたいならシャッターを設置しよう
準防火地域で火災のときに延焼の恐れがあるような窓は、防火戸にする必要があります。
窓を防火戸にする方法として、網入りガラスが挙げられます。
しかし、窓ガラスに網が入っているため、窓ガラスとしての美しさも求められませんよね。
せっかくの新築の家の窓が網入りガラスでは、窓から見る景色も想像していたものと違ってしまうかもしれません。
そういう方は普通の窓ガラスにしたいと強く思うことでしょう。
せめて、リビングの大きな窓くらいは普通の窓ガラスにしたいと思われるのであれば、その窓にシャッターをつけることで普通の窓ガラスにすることが可能です。
シャッターが防火性があるものとして認められているのです。
防犯上のことを考えてもシャッターは大きな役割を示しますので、網入りガラスが気に入らない方はシャッターの設置をおすすめします。
窓にシャッターを付けた場合!気になるのは外観
準防火地域に住んでいて、延焼の恐れがある窓を網入りガラスではなく普通の窓ガラスにしたいのであれば、シャッターを付ける方法があることをお話ししてきました。
シャッターを付ければ窓ガラスは普通のものでも大丈夫ですし、家の中から見る外の景色も問題がないのではないでしょうか。
しかし、シャッターを付けた場合、人によっては気になる点が出てきてしまうかもしれません。
それは、外観の問題です。
シャッターを付けるには、窓の上部にシャッターを開閉させる収納部を取り付ける必要があります。
各窓にシャッターが付いていると、どの窓もシャッターによる出っ張りが目立つことになります。
家の中にいれば気づかない部分ではありますが、外から家を眺めた際にはシャッターが気になってしまう方も出てくるかもしれません。
網入りガラスもシャッターも嫌!防火窓はいかが
準防火地域に住む以上、延焼の恐れがある窓は防火戸にする必要があります。
しかし、網入りガラスは嫌だし、シャッターも外観上の問題から付けたくないとお考えの方もいらっしゃるかと思います。
そのような方には、防火窓がおすすめです。
防火窓は、網入りガラスが入っていなくても耐火性能がある窓ガラスのことです。
以前なら防火戸といったら網入りガラスを指したものですが、防火窓の誕生でシャッターを付けなくてもいい選択肢ができました。
防火窓は種類によって価格に違いがあるようですが、実際の価格は窓の枚数や業者などによって異なってくるようです。
ただし、防火窓は価格が高いことで知られており、網入りガラスの2倍もの価格とも言われています。
網入りガラスもシャッターも付けたくない場合には防火窓は有効ですが、高い価格になってしまうことも考えられるため、本当に防火窓を設置するのか、どこの窓を防火窓にするかなどの選択は大切になってくることでしょう。
新築なら設計が大事!延焼の恐れがない窓作りをしよう
ここまで、準防火地域に住む場合の窓への対処法についてお伝えしてきました。
延焼の恐れがある場合、窓は防火戸にする必要があり、窓を網入りガラスにすることが基本でしたね。
もし網入りガラスが嫌な場合には、普通の窓ガラスにシャッターを付ける方法や防火窓を設置する方法もありました。
しかし、新築であれば設計は一から作るわけですから、もしかすると窓に対しての工夫ができる可能性があります。
準防火地域であっても、要は延焼の恐れがない窓を設置すればいいわけですから、設計の工夫次第では普通の窓を付けられるかもしれないのです。
ただ、準防火地域で購入する土地がそれほど広くなければ、延焼しない窓という条件はなかなか難しいかもしれません。
そうであれば、せめてリビングの窓だけでも普通の窓にできるよう設計を考えるなど、一部だけでもいいですので普通の窓でOKな箇所を考えてみてはいかがでしょうか。
準防火地域は建築規制があるため、普通の地域より建築費用が高くなってしまうことが考えられます。
少しでも費用が低く抑えられるよう設計の段階から工夫をしてみましょう。
準防火地域の窓にシャッターを付ければ普通の窓でもOK
準防火地域の窓には建築制限があり、防火戸にしなければならない場合があります。
防火戸の対応としては、網入りガラスにするかシャッターを取り付ける方法がありました。
最近では防火窓も発売されていますが、価格はかなり高く設定されているようです。
設計の工夫で防火戸にする窓を減らすことも可能かもしれませんので、ハウスメーカーや建築家の方に相談してみることもおすすめです。