準防火地域では軒裏に建築制限あり!軒裏に木は使えるのか?

住宅を準防火地域に建てる場合、準防火地域には建築に関する制限があるため、あらかじめその制限について知っておく必要があります。

特に木造の家を建てたい場合には注意が必要です。

また、準防火地域での建築制限に「軒裏」に対するものがありますが、軒裏に木を使えるのでしょうか?

軒裏も含めた準防火地域での建築制限を、こちらの記事で確認していきましょう。

軒裏に建築制限あり!準防火地域とは

準防火地域は、都市計画法で決められている地域のことです。

この法は人口が密集した都市に発生する火災の危険を少しでも少なくするために決められており、防火地域の周りに存在しています。

他に類似したものとしては法22条区域というものもあり、規制の厳しさとしては、防火地域>準防火地域>法22条区域の順となっています。

防火地域は、都市の中心部にあり建物が密集していたり幹線道路の近くにある商業施設などが指定されていることが多いです。

また、準防火地域は防火地域の周りに広範囲に指定されています。

建築制限は防火地域よりは多少緩くなりますが、それでもまだ厳しい制限があると言っていいでしょう。

あまり聞きなれない法22条区域は準防火地域の外側にあることが多く、建築基準法で火災の恐れがあると指定されている地域になります。

建築制限は準防火地域よりもさらに緩やかになっています。

ところで、準防火地域では軒裏などへの建築制限がありますが、具体的な内容はご存知ですか?

次項からは、軒裏に木を使えるのかなど、準防火地域での建築制限を確認していきます。

軒裏に木を使えるのか?準防火地域での建築制限

準防火地域で住宅を建てる場合、建築制限があるためスムーズに住宅が建てられないことがあるかもしれません。

こちらの項では、準防火地域での建築制限についてお伝えしていきます。

準防火地域では、以下のような建築制限があります。

階数別条件がわかれていますので、それぞれ確認していきましょう。

〇4階建て以上

・延面積は問わず耐火建築物とする

〇3階建て

・延面積が1500平方メートル超→耐火建築物
・延面積が500平方メートル超~1500平方メートル以下→耐火または準耐火建築物
・延面積が500平方メートル以下→耐火または準耐火建築物・技術的基準を満たす建物

〇1・2階建て
・延面積が1500平方メートル超→耐火建築物
・延面積が500平方メートル超~1500平方メートル以下→耐火または準耐火建築物
・延面積が500平方メートル以下(特に木造建築の場合)→外壁・軒裏などに防火措置をする

軒裏への制限が大事になるのは、延面積が500平方メートル以下で、特に1・2階建て木造建築の場合です。

具体的にどのような制限なのか気になるところです。

準防火地域で3階の住宅を建てる場合!軒裏への制限は?

もし準防火地域で3階建ての住宅を建てる場合には、耐火または準耐火建築物か、技術的基準を満たす建物である必要があり、木造である場合はさらに柱などに条件が付きます。

そもそも耐火建築物とは、主要構造部を耐火構造にする必要がある建物のことです。

したがって、耐火建築物には火災が終了するまで倒壊・延焼を防ぐことが求められています。

当てはまる構造としては、鉄筋コンクリート造などが挙げられます。

一方、準耐火建築物とは、耐火建築物としての条件は満たさないものの、主要構造部が準耐火構造となっているものです。

準耐火建築物には、火災による延焼を抑えることが求められています。

また、技術的基準を満たす建物も準防火地域では認められていますが、その条件の一つである外壁や軒裏は延焼の恐れがあれば防火構造にする必要があります。

なお、耐火または準耐火建築物・3階建て建築物の技術的基準を満たす建物には、どちらも屋根・開口部への建築制限があります。

屋根は不燃材料を使用し、開口部は延焼の恐れがある場合には防火措置を施す必要があります。

窓は網入りガラスか防火窓にする他、シャッターで対応でき、玄関は防火戸、換気扇は防火ダンパーを取り付けるなどで対応します。

準防火地域で1・2階の住宅を建てる場合!外壁・軒裏への制限あり

準防火地域で1・2階建ての住宅を建てるなら、大抵の場合は延面積500平方メートル以下のものでしょう。

この場合、木造住宅であっても耐火または準耐火構造にする必要はありません。

1・2階建てなら、準防火地域であっても、3階建てのような耐火または準耐火構造にする必要がないのが大きな特徴と言えるでしょう。

ただし、前項でお伝えしたように屋根・開口部への制限は必要になります。

開口部への制限とは、延焼の恐れがある場合に開口部へ防火措置を施すということです。

窓・玄関は防火戸にする必要があり、換気扇も防火措置を施す必要があります。

また、準防火地域で木造1・2階建ての場合、3階建ての技術的基準を満たす建物ときと同様に、外壁や軒裏は防火構造にしなければなりません。

ただし、延焼の恐れがあればという条件が付きますので、延焼の恐れがない場合はもちろん外壁や軒裏を防火構造にする必要はなくなります。

延焼の恐れがあるかどうかというのは、住宅から道路中心線や隣地境界線までの距離が1階なら3メートル、2階なら5メートル離れているかどうかが判断基準です。

軒裏に木を使いたい!準防火地域での防火構造とは?

準防火地域に建築する木造住宅への条件として、外壁・軒裏への制限があります。

延焼の恐れがある外壁・軒裏には防火構造が求められるというものでしたね。

防火構造とは、火災による延焼を防ぐために防火性能を持ち合わせた構造のことを指し、国土交通大臣が定めたものか国土交通大臣から認定を受けているものです。

遮熱性は、外壁・軒裏共に30分間が求められており、耐力壁となる外壁に関しては30分間の非損傷性も求められています。

また、防火構造として認められる条件として、屋外に面する部分は20~30ミリの塗り壁にし、屋内に面する部分は9.5ミリの石膏ボードを張ることとなっています。

ただし、外壁によって軒裏と屋内側が遮られている場合は、外壁が防火構造となっているため、軒裏は防火構造とする必要がありません。

この場合には軒裏に木を使うことができます。

また、従来から使われていた木造工法である「木造化粧軒裏」も準防火地域で認められています。

具体的には、野地板厚さが30ミリ以上で外壁などの隙間に厚さ45ミリ以上の木材面戸板が施されているような仕様であれば問題ありません。

準防火地域で外壁に木を使う場合

前項では、準防火地域で軒裏に木を使う場合についてご紹介してきました。

ここでは、準防火地域で防火構造が求められる外壁に木を使う場合についてお伝えします。

外壁に木を使いたい場合でも、壁に防火構造を施すことが求められます。

そこで、防火構造の外壁を作り、その上に木を張ることで見栄えのする木造の外壁が作れます。

外壁で使われる具体的な防火構造としては、土壁が挙げられます。

一般的な構造として、屋外に面する部分は30ミリ以上の土壁、屋内に面する部分は9.5ミリ以上の石膏ボードがあります。

土壁は昔から使われている工法で火に強いですので、その上に木を張っても大丈夫ということになっているのです。

なお、準防火地域では屋根に不燃材料を使うことが求められています。

屋根の材料として瓦は一般的によく使われるものですが、瓦は不燃材料として認められているため、一般の住宅なら瓦を使うことで対応できるでしょう。

準防火地域で軒裏に木を使う方法はある

準防火地域では建築制限があるため、木造の住宅の場合には特に注意が必要です。

一般的な2階建ての木造住宅では、延焼の恐れがある場合には外壁・軒裏を防火構造にしなければなりません。

軒裏に木を使いたい場合、木の厚みを30ミリ以上にしたり、木造化粧軒裏を施すなど方法があります。

また、外壁が軒裏と屋内側を遮っていれば、軒裏に防火対策する必要はありません。

全く木が使えない訳ではありませんので、お好みの方法を選んで対応しましょう。