長年の夢だったマイホームに、木造の家を選んだ方は多いのではないでしょうか。
日本人に長く選ばれ続けてきた木造の家ですが、なかには「音が気になる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
その話は事実なのでしょうか。
また、事実だとしたらどのような対策が必要なのでしょうか。
この記事では、木造の家を選ぶ理由をはじめ、木造の家に住む際に気になる音についてもお話しし、その対策についてもお伝えします。
木造の家を選ぶ理由
家を建てるときに選ぶことができる構造は、大きく3つに分けられます。
・木造
・鉄筋コンクリート(RC構造)
・鉄筋鉄骨コンクリート(SRC構造)
この中でも、日本で家を建てるとなると一番に思い付くのが木造の家です。
時代の進んだ現代においても、新築の家に木造住宅を選ぶ方が半数を超えると言われています。
なぜかというと、木造の家はたくさんのメリットを持っているためです。
そのメリットについていくつかご紹介します。
●木のぬくもりを感じることができる
木は癒しの効果を持っています。
木に触れたり、木目を見たりしているだけでも、安心感を与えてくれるでしょう。
●コストが安い
木造の家の方が、他の材料の家よりも材料費を安く抑えることができます。
それは、材料に木が使われていることも関係していますが、その他にも、木が持つ調湿機能により断熱材などを多用しなくて済むためです。
●建築後に間取りの変更ができる
木造の家の場合、「部屋の間の壁を取り払う」または「一つの部屋を二つに区切る」など、建築基準法の基準を満たしていれば、間取りの変更が可能です。
そのため、将来的に子供部屋の増築をしたり、老後にリフォームなどを考えたりしている方には、間取りを自由に変更できる木造住宅がおすすめです。
このように、たくさんのメリットを持つ木造の家ですが、デメリットを抱えていることも事実です。
そのなかでも、「音」に注目してお話しを進めていきましょう。
木造の家に潜むデメリット!音が気になる?
家を建てる際にたくさんの方に選ばれる木造の家ですが、いくつかのデメリットも抱えています。
まずは、耐震性や耐久性の面です。
鉄筋コンクリートで作られている家では、法定耐用年数が約50年となっているのに比べて、木造の家は約20年と数字上では大分劣ります。
やはり、耐震性や耐久性では構造上、鉄筋コンクリートにかなわないことは否めません。
また、シロアリによる被害が懸念されるのも木造の家の特徴です。
シロアリは湿気を含んだ木を好みます。
ということは、木を多く使った木造の家では、シロアリの格好の住処になってしまうことがあるのです。
四季のある日本では、湿度が高くなる時期もあるので要注意です。
そして、遮音性の低さも気になる部分です。
木造の家は木と梁を組み合わせて作られているため、壁などの内部が空洞になっており、音を通しやすくなってしまうのです。
遮音性は壁などの質量が関係していますので、やはり木造の家は音が漏れやすく、外からの音も伝わりやすいと言えるでしょう。
日常生活で気になる音とは?
「木造の家は遮音性が低い」というお話しをしましたが、日常生活においてどのような音が気になると言われているのでしょうか。
日常生活で気になる音について、いくつか例を挙げていきます。
・洗濯機
・掃除機
・換気扇
・エアコン
・テレビ
・電話の呼び出し音
・子供が遊んでいる声
・犬が鳴いている声
・車のエンジン音
例を挙げたらきりがないほどに、日常生活は音であふれています。
この他にも、人の話し声や布団をたたく音など、人によって気になる音は違ってくるでしょう。
また、時間帯によっても音の気になり方は違ってきます。
昼間なら気にならなかった音も、人が寝静まる夜の時間帯では、たとえ小さな音でも気になってしまうことはあるはずです。
それでは、このような音の漏れや侵入を防ぐためにはどうすればいいのでしょう。
次項から、木造の家を建てるときにできる音への対策についてお話ししていきます。
木造の家を建てるときの音への対策
木造の家を建てるときにできる音への対策は、どのようなことができるのでしょうか。
考えられるべき場所としては、床・壁・窓の3か所に対策を施すとよいでしょう。
●床・壁
木造の家の床や壁は内部に空間を有しているため、音が漏れやすいです。
そのため、床や壁には、音を防ぐ効果のある材質のものを使用してください。
さらに効果を高めたい場合は、壁の内部に吸音材を取り付けるとよいでしょう。
吸音材とは、空気中の音の振動を弱く小さくしてくれるものです。
仕組みは、吸音材に音が入り込み、外部に漏れ出る前に空気抵抗で音を分散させてくれます。
木造の家は床や壁に空洞が存在しているので、この吸音材が役に立ちます。
吸音材、そして床や壁の素材に音を防ぐ効果のあるものを選ぶことに加えて、仕上げ材として布製のクロスなどを貼り付ければ、3重構造で音を防ぐことができるでしょう。
次の項では、窓にできる防音対策についてご紹介します。
まだある!防音のために木造の家でできること
木造の家に施すことのできる防音対策は、他にもあります。
●窓
音の出入り口になるのは窓からが一番多いです。
なぜなら、開閉の動きがある窓は、見た目からは分かりませんが、サッシやレールなどに隙間が存在しているのです。
また、窓自体もそれほど厚いものではありません。
窓の防音性能は、壁と比べると半分以下だと言われています。
そのため、窓への防音対策は欠かせないことなのです。
防音のために窓を設計するならば、あまりサイズが大きくなりすぎないように注意してください。
サイズが大きい窓からは、音が漏れ出やすく、部屋の中にも音が入ってきやすいです。
しかし、採光のことを考えると、「あまり小さいサイズにしたくない」という方もいるかもしれません。
そのようなときは、窓を二重にして防音サッシを取り付けてください。
防音サッシは気密性が高く、窓の隙間を塞いでくれるので、防音効果が抜群ですよ。
建築後の家でもできる簡単な防音対策
ここまで、木造の家を建てるときにできる防音対策についてお話をしてきました。
たしかに、家を建てる段階で防音のための設計をしていれば、音に悩まされることは少なくなるでしょう。
しかし、家を建てた後でも防音のためにできることはたくさんあります。
まずは、窓に防音カーテンをかけましょう。
音が気になるのは窓が原因になることが多いので、防音カーテンで音をシャットアウトしてしまうことが有効です。
床には、厚手のカーペットやマットを敷きましょう。
また、二階の子供部屋にクッションマットを敷けば、子供が遊んでいても足音が気にならなくなるはずです。
壁からの音が気になる場合は、家具の配置を見直してみてください。
本棚やタンスを壁側に配置することで、遮音材の役割を果たしてくれるでしょう。
簡単な方法でも手軽に防音対策はできますので、すでに木造の家を建築した方も参考にしてみてください。
木造の家を建てるときは防音対策を忘れずに!
木造の家は構造上、「音を通しやすい」と言われています。
生きていくうえで音を一切出さずに生活することはできませんから、何かしらの対策は行っていきましょう。
注目すべきは床・壁・窓です。
この3か所に防音対策を施せば、気になる音も緩和されるはずです。
家を建てた後でも簡単にできる防音対策もありますので、あわせて参考にしてみてください。