ALC外壁とは?定期的な塗り替えによる補修が機能維持に大切

建物の外壁によく使われる建材に「ALC外壁」と言われるものがあります。

このALC外壁は何でできていて、どのような特徴があるのかをご存知でしょうか。

ここではその基本的な知識をご紹介します。

また、ALC外壁の塗り替えによる補修についても詳しくお話しするので、ALC外壁のその後の管理について知りたい人も参考にしてください。

ALC外壁のALCとは?

ALC外壁のALCとは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」を略した言葉です。

日本語では「高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリート」という意味になりますが、これだけ聞くと難しくて分かりにくいかもしれません。

まずは、ALCの原料について知っていきましょう。

ALCは、セメント・生石灰・アルミニウムなどで作られています。

これらの原料を固め、180度の蒸気で10気圧をかけ、10数時間養生することでALCとなるのです。

それでは、なぜこれらを原料とすることで軽量で気泡のあるコンクリートになるのでしょうか。

ALCの内部は無数の気泡が見られますが、その気泡は、原料の化学反応によって発生した水素ガスがもとになります。

セメントと生石灰を養生することによって発生したアルカリ成分が、アルミニウムと反応することで水素ガスとなるのです。

気泡を含んだALCは、一般的なコンクリートに比べて重量が約4分の1で、建材の中でも軽い素材と言えます。

また、耐久性もあるため、大がかりな補修工事も少なくすみます。

この他にも、ALCには様々な特徴がありますので、次項で説明しましょう。

ALCの特徴

ALCの特徴として耐久性の良さが挙げられます。

定期的な塗り替えなどの補修は必要になりますが、大きな破損さえなければ50年は使い続けることができます。

また、ALCの最大の特徴と言えるのが気泡の存在です。

内部に気泡があることで、たくさんのメリットを生み出しているのです。

気泡があるということは、そこに空気の空間が存在しているということです。

空気は音を通しにくいため遮音性に優れていますし、断熱性も期待できます。

断熱性に優れているとなれば、熱によって建材が傷んでしまうのを最小限にとどめてくれるで、耐久面から考えても安心できます。

強度を保ちつつ軽さもあるということは、大きな利点ですね。

しかし、気泡があるのは利点だけでなく難点もあり、ALCにある気泡は水が侵入しやすいです。

また、ALCに使われているセメントは水を吸収しやすいという特徴があるため、それらを考えると耐水性に欠けると言えます。

これらの点から、ALCを外壁に使うときにはいくつかの注意点を守る必要があります。

ALCを外壁に使用するときに考えること

先ほど、ALCの特徴についてお話ししました。

これらの特徴からALCは建物の外壁として優れていると言えますが、注意しなければならないことは水に対する弱さです。

このマイナスポイントを埋めるためには、外壁の表面に防水性を備えた塗料を塗ることが大切になります。

しかし、一度塗料を塗ったからと言って、ALC外壁が耐用年数の50年を迎えるまで効果が持続するかと言われるとそういう訳にはいきません。

ALC外壁の防水性を維持するためには、10年ごとの塗料の塗り替えによる補修が必要です。

しかし、ALC外壁に異常があった場合、それよりも短期間で補修をしなければならない可能性もあります。

補修を判断するときのALC外壁の異常については、次項でお話しします。

補修の判断はここでしよう!ALC外壁に現れる異常とは

ALC外壁の補修が基準の10年以外にいつ必要なのかを判断するためには、これからご紹介する異常を目安にすると良いでしょう。

〇塗装の剥がれや浮きがある

ALC外壁の表面の塗装が、剥がれていたり浮いたりしているのが見た目で分かる状態になっていたら、塗り替えによる補修を考えましょう。

放っておくと、塗装が薄くなった場所から水が浸水して、外壁だけではなく建物全体まで被害が大きくなる可能性があります。

〇ひび割れや破損がある

衝撃が加わることで外壁が破損したり、ひびが入ったりすることがあります。

隙間から水が浸入してしまうので、隙間を埋めるなどの補修を行いましょう。

〇変色している

水により、ALC外壁に苔やカビなどが生えることがあります。

こうなってしまうと塗装の力が弱くなり、水による悪い影響が出ているということになりますので、塗り替えを行ってください。

カビが生えているのであれば、見た目がよくないだけではなく、住んでいる人の体にも悪い影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

〇チョーキング現象が起きている

チョーキング現象とは表面に白い粉が浮き上がることを指します。

少し触れただけでも手に白い粉がつくような状態になったら、ALC外壁の塗り替えが必要です。

塗装だけではなくコーキングの補修も大切

ALC外壁の塗装に異常を見つけた、あるいは寿命を迎えたような場合は、塗り替えによる補修が必要です。

しかし、補修すべきはALC外壁の表面だけではなく、目地に使われているシーリングにも着目しなければなりません。

ALCを外壁で使用する場合、パネルにしたALCを組み合わせることで一つの壁にします。

そのALCのパネルとパネルを組み合わせるために使われるのが、シーリングです。

シーリングは建物の揺らぎを吸収するという重要な役割も担っていて、ALC表面の塗装と同じく、シーリングも定期的に補修が必要になります。

症状の異常としては、ひび割れや変色・隙間などが現れるようです。

これらの異常が現れるのは、塗装による保護膜が失われたときです。

そのため、ALC外壁を補修するときに、あわせてコーキングの補修も行うと良いでしょう。

補修するためのコーキング材には可塑剤が含まれていないものをお勧めします。

可塑剤は汚れがつきやすく、表面が黒ずんでしまうことがありますので、べたつかないタイプのノンブリードのコーキング材を選びましょう。

ALC外壁の塗り替えによる補修の一連の流れ

ALC外壁は塗り替えによる補修を定期的に行うことが大切です。

そうすることで、建物の強度が保たれ、安心して住み続けることができます。

ここでは、ALC外壁を補修するときの一般的な流れについておおまかにご説明します。

1.洗浄

2.下地調整

3.下地補修

4.養生

5.下塗り

6.中塗り

7.上塗り

8.仕上げ

ALC外壁は一般的な外壁材と比べ、単価が高く設定されています。

多くの建物で使われている窯業系サイディング材が3,000円/m2に比べると、ALC材は7,500円/m2となります。

たくさんの機能を持ち比較的高価なALCなので当然ともいえるのですが、「できるなら補修は塗り替えに留めたい」と思うのが心情でしょう。

そのため、ALC外壁に異常な箇所を見つけたら、できるだけ早めに対処をしてください。

ALC材自体の交換が必要になるまでに放っておかずに、10年に一度の塗り替えによる補修は欠かさずに行いましょう。

塗り替えによる補修はケースによっても異なりますが、一般的に100万円前後の費用がかかることも頭に入れておいてください。

定期的にALC外壁の補修によるメンテナンスを行おう!

たくさんの特性を持つALCだからこそ、定期的なメンテナンスが大切になります。

もし外観に異常を見つけたら、早急に対処をしましょう。

ALC外壁の機能はそのままにきれいに保つためには、10年に一度を目安として塗り替えによる補修を行ってください。

全面塗り替えによるALC外壁の補修はそれなりの費用がかかりますので、前もって準備をしておきましょう。