貸主にとって借主の家賃滞納は、頭を悩ませる大きな問題です。
あまりに家賃滞納が長引く場合は、裁判にまで発展してしまうこともあるのです。
ただ、一口に裁判といっても手続きが大変そうですし、何より費用がどれくらいかかってしまうのか気になるところですよね。
借主の家賃滞納によって裁判を起こす場合、費用はどれくらいかかるのか、手続きの手順についてもご説明していきます。
家賃滞納への対応手順!費用がかかってもすぐ裁判?!
借主の家賃滞納がある場合、一刻も早く払ってほしいと思い、裁判を起こしたらどうかと思う貸主がいるかもしれません。
しかし、家賃滞納への対応には、手順を追って行うことが必要です。
また、裁判では費用もかかってしまうため、なるべく裁判を起こす前での解決がおすすめなのです。
それでは、家賃滞納があった場合、どのような手順で進めていけばいいのでしょうか。
〇電話連絡をする
〇督促状を送る
〇連帯保証人に連絡する
〇部屋を訪問する
まずは電話連絡をしてみて、確認をしてみます。
相手が電話にでない場合でも、しばらく続けて連絡を続けてみましょう。
次に、督促状を渡すというものです。
なかには、電話自体が通じない場合もあります。
その場合には督促状を送ることによって、内容を確認してもらうことができます。
次に、連帯保証人に連絡をしてみることもおすすめです。
連帯保証人に支払いをしてもらうこともできますが、まずは借主からの返済を求める形を取るために、連帯保証人のほうからも借主に連絡してもらうようにしてください。
家賃滞納では、部屋を訪問する方法も有効です。
借主の体調不良などで、部屋で倒れていることもあるかもしれないからです。
また、直接顔を合わせることによって、詳しい事情を知ることができることもあります。
家賃滞納があった場合、まずは上記でお伝えしたようなことから対処していきましょう。
家賃滞納が長引く!裁判よりも内容証明を!費用は?
家賃滞納している借主に前項でご説明したような方法で対処したものの、連絡が取れないこともあるでしょう。
そのようなことが長く続くと家賃滞納状態が続いてしまうことになりますので、この後は契約解除に向かって進んでいくことになります。
そのために、今度は内容証明の書類を送ることになります。
内容証明とは、いつ、どういう内容を誰から誰に送ったかということを日本郵便が証明してくれる郵便物のことです。
内容としては、「いつまでに滞納している家賃を支払ってほしい」ということと、「決められた期日までに支払がないときは賃貸借契約を解除しますので、部屋を明け渡してください」という内容になります。
内容証明で送らずに、普通郵便で送ればいいのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、普通郵便では受け取り確認ができないため、受け取りをしていないと借主に言われてしまうとそれで終わってしまいます。
内容証明で送れば、文書を受け取った日と内容が証明されますので確実に相手に届けることができるのです。
費用は手紙の枚数によって変化し、1枚で済む場合は1,200円程度、4枚まででは2,000円程度になります。
内容証明は多少の費用はかかりますが、裁判よりも安く済みますし、契約解除に向けてのステップにも繋がりますので必要な手順になります。
いよいよ裁判!明け渡し請求訴訟に必要な書類と費用
家賃滞納が続き、こちらからの要求にも応じない場合は、部屋を明け渡してもらう裁判を起こすことになります。
裁判で費用はかかってしまいますが、いつまでも家賃滞納が続いては家賃収入が見込めませんし、一刻も早く部屋を明け渡してもらって問題を解決しましょう。
明け渡し請求訴訟の裁判では必要な書類があります。
・不動産登記謄本
・固定資産評価額証明書
・予納郵便切手
・収入印紙
・証拠となる書類(内容証明など)
また、かかる費用は大きいもので
・予納金
・予納郵便切手
があります。
予納金とは裁判所に払う費用のことで、収入印紙で納付することになっており、金額は基本的に65,000円となっています。
また、予納郵便切手とは、裁判所が裁判に関わる郵便物を送る場合に使うための切手になります。
郵送料が高くなるような郵便方法を取る場合がありますので高めの金額となっており、6,000円程度かかるようです。
あとは、不動産登記謄本は600円程度、固定資産評価額証明書は400円程度の費用になります。
裁判を行うには条件が!裁判は何ヶ月から?
家賃滞納で裁判を起こす場合、いつでも裁判が起こせるという訳ではありません。
ここでは、裁判を起こすための条件をお伝えします。
〇3ヶ月以上の家賃滞納
家賃滞納していることが条件ではありますが、1ヶ月程度の家賃の滞納では裁判所は動いてくれませんので注意が必要です。
最低でも3ヶ月以上の家賃滞納によって対応してくれることがほとんどのようです。
過去の事例を参考にすると半年位の場合が多いようですので、裁判を行う目安は半年を見ておいたほうがいいかもしれません。
〇時効の成立に注意
家賃のように定期的に支払いが発生するものに対しては時効があり、民法169条によると5年で時効が成立してしまうとのことです。
5年もの長い間、家賃滞納についてトラブルが続くとは思いたくありませんが、念のため時効があるといういことを覚えておくとよいでしょう。
費用をかけてまで裁判を起こしていますので、家賃滞納のトラブルは一刻も早く解決することが大切です。
家賃滞納を解決するために!裁判の手順
裁判を行うには手順がありますので、それをご説明していきます。
・貸主による訴状の提出
・裁判所が訴状の受け取り→借主に訴状を送付
・借主による答弁書の提出
・裁判所が答弁書を受理→貸主に答弁書を提出
・裁判所による審理
・裁判所による判決→和解か判決
訴状には、原告である貸主の氏名住所と、被告である借主の氏名住所を記載する必要があります。
また、家賃滞納の金額や訴える内容などについても記載しなければなりません。
答弁書は、訴状を確認した借主がその内容を認めるかどうかが記載してあります。
あとは裁判所が審理を行うのですが、判決のために裁判所が内容について調べることになり、最後に、貸主・借主双方を合わせての話し合いとなります。
話し合いがうまくいけば和解という形になりますが、もし和解とならない場合には裁判所による判決が下されるのです。
裁判にかかる費用はさきほどご説明しましたが、もし裁判の手続きを弁護士に任せるとその分また費用がかかってきます。
裁判を弁護士に頼んだ場合の費用
裁判をご自分ですることも可能ですが、弁護士を通して頼んだほうが物事がスムーズにいくはずです。
弁護士に裁判を依頼した場合にかかる費用は以下の通りです。
・相談料
・着手金
・報酬金
弁護士に実際にお願いする前に、相談という形で話を聞いてくれることがあります。
相談料として5,000円程度かかることが多いようですが、初回は無料となる弁護士事務所も増えていますので、まずは無料相談できそうな弁護士の方に話を聞いてもらっても良いでしょう。
着手金は、依頼を受けてから実際に動き始めてからかかる費用になります。
着手金としては10~40万円くらいが相場のようです。
金額に開きがありますので、実際の金額は各弁護士事務所に確認してみると良いでしょう。
報酬金は、家賃滞納の回収に成功した場合に弁護士に支払う費用になります。
大抵は回収した金額の10~20%程度を報酬金としている弁護士事務所が多いようです。
こちらも詳細は弁護士事務所に直接確認してみてください。
家賃滞納での裁判は費用がかかる
家賃滞納で裁判を起こすには、弁護士にお願いする場合は特にある程度の金額がかかってしまいます。
できれば、裁判にまで発展しないようにすることが大切なのです。
電話での確認や部屋を訪問しても駄目な場合は、内容証明を送って契約解除・裁判する方向へ向かっていくことになります。
どうしても借主との対応がうまくいかない場合の裁判は仕方がないかもしれませんが、その前に解決できるように、日頃から借主との関係をうまく保っておくということも大切です。