建築基準法の観点からすると、建築物は既定の道路に接している必要があります。
しかし、住宅が奥まった土地にある場合、道路に接することは難しくなります。
その場合、行政から認められれば、道路から住宅に行くまでの道を位置指定道路として扱うことができます。
しかし、位置指定道路が私道の場合、車を自由に駐車してもいいと思っているような方がいるようですが、この場合はどうなのでしょうか。
私道でも道路になる!?位置指定道路とは
建築物を建てるには、その敷地が建築基準法で決められた幅員4m以上の道路に2m以上接していることが必要です。
この道路は基本的には公道であり、国道・都道府県道・市町村道などが挙げられます。
ところが、私道であっても道路と認められる場合もあります。
それは、知事や市町村長から位置指定を受けた道路のことで、それを「位置指定道路」と言います。
土地を分譲するときなどに、位置指定道路が使われることが多いです。
また、位置指定道路は基本的には私道であり、公的機関でない誰かの所有物であることを意味します。
自分の土地の前が位置指定道路なのか、所有権は誰になっているのかなど気をつける必要があるでしょう。
また、位置指定道路はその道路を使う住人たちが共同で所有していることも多いのですが、自分も所有しているからといって、勝手に駐車しつづけてしまう方もいるようです。
この場合、駐車違反とならないのか気になるところですよね。
実際に位置指定道路での駐車トラブルは増えているようですので、次項からは位置指定道路での駐車に関して確認していきましょう。
位置指定道路での駐車!私道なら停めてもいいのか?
位置指定道路は、都道府県や市町村から特別に道路としての位置指定を受けた道路です。
そして、位置指定道路はその道路を使う住人たちが共有で所有している私道である場合が多いです。
そこで問題としてよく聞かれるのが、位置指定道路での路上駐車です。
位置指定道路は私道であることから、自由に駐車しても構わないと思っている方がいるようなのです。
しかし、それは許される行為なのでしょうか。
基本的には位置指定道路はあくまで道路として使用されるべきものですので、駐車場のような扱いをすることは許されません。
他人と共同で所有しているのであれば尚更であり、もし駐車したい場合は当然自分の敷地内にするか、敷地内に停められない場合は、敷地外に駐車場を借りることを考えなければなりません。
もし、位置指定道路を駐車場のように使用している住人がいれば、そのような行為をやめるよう注意することができます。
しかし、それでもやめない場合、どのような方法があるのでしょうか?
私道だからと位置指定道路での駐車をやめてくれない!対処法は?
位置指定道路での路上駐車は認められないことは前項でお伝えした通りですが、私道だからといって駐車をやめてくれない住人もなかにはいるようです。
この場合はどのような方法で対処すればいいでしょうか?
できれば、話し合いによっての解決が望まれますが、それがうまくいかない場合は、まずは自治会に相談してみることをおすすめします。
お住まいの自治会長さんなどにこのような問題があって困っている旨を伝えてみるのです。
近くの住人が言っても聞かない場合は、自治会の方の協力も必要かもしれませんね。
それでも聞かない場合は、自治体に相談する方法もあります。
地域の問題として取り扱ってくれる場合があり、自治体として対応してくれるかもしれません。
裁判を起こすという方法もありますが、例え判決が駐車をやめさせる結果だったとしても、ただちにやめてくれないことも考えられますし、話がこじれてしまっていることもあります。
できるだけうまく話し合いで解決するよう、粘り強く訴えることも大切です。
位置指定道路での駐車は駐車違反!?警察に連絡する方法も
位置指定道路での駐車トラブルへの対処法をお伝えしてきましたが、もしどうしても分かってもらえない場合には警察に連絡する方法もあります。
ご近所ということもあり、できれば警察に連絡する方法は避けたいものですが、問題解決のひとつの策としてこの方法は有効です。
位置指定道路は道路の扱いを受けていますから、私道だからという言い訳は通用せず、駐車違反として扱ってもらえるはずです。
私道であっても道路交通法の観点から道路と認定されている道路ですし、車の保管場所を確保するということにも違反が見られるからです。
警察へ連絡後、違反をしている方の敷地内に駐車スペースがあれば問題はすぐ解決しそうですが、そうでない場合は駐車場を近隣で探す必要があるため、すぐに動いてもらえるかは分かりません。
しかし、警察が動いたとなれば、またいつ駐車違反と取られるか分からない不安もあるでしょうから、このことによって違法駐車は改善されていくのではないでしょうか。
とはいえ、警察への連絡は穏便に済ませる方法ではありませんので、やはりできるだけ話し合いでの解決をおすすめします。
位置指定道路での駐車!宅配便や救急車の出入りを妨げる場合も
位置指定道路での路上駐車ですが、邪魔になるとはいえ、私道に面している住民の車の出入りには問題ない場合も考えられますよね。
このような場合は苦情を言うのを躊躇したり、トラブルを避けたいあまりそのまま放置してしまう方もいらっしゃることでしょう。
しかし、普通の通行で問題ない場合でも、例えば宅配便の配達や救急車の出入りには困ってしまうことも考えられます。
宅急便は重い荷物を運ばなければならないことも多く、できれば届ける住宅近くまで車を近づけたいはずです。
ところが、位置指定道路に駐車していることから、奥の住宅まで届けられずに苦労する宅配便の方も実際いらっしゃるようです。
また、救急車や消防車のような緊急車両が来た場合、駐車している車のために奥まで入れない可能性も考えられます。
自分の車の出入りに支障がないからといって放っておかずに、何か緊急の事態があった場合のことを考えると、位置指定道路での駐車は迷惑なこととなりますので、改善していく方向が好ましいですね。
駐車以外にも問題が!位置指定道路がある住宅の注意点
もし、購入しようとしている土地が位置指定道路に面している場合には、駐車の件以外にもいくつか注意が必要です。
ここでは、その注意点について確認していきましょう。
〇掘削の許可
新しく家を建てる場合、上下水道の配管などをひくため、位置指定道路を掘削する必要があります。
しかし、位置指定道路は私道であるため、その所有者に許可を得なければなりません。
位置指定道路は何人かで共用で所有している場合も多いため、その全員からの許可が要ります。
基本的には許可はすぐもらえるとは思いますが、中には金銭を求めるような方もいるようですので注意しましょう。
〇車両の通行制限の可能性
もし、位置指定道路の所有権がないまま住宅を建てた場合、所有者から車両の通行の制限などを受ける可能性があります。
所有者に所有権があり、私道であるということでこのような制限を告げられる場合もあるのです。
この場合、できれば位置指定道路の共同所有者となることをおすすめします。
位置指定道路は私道とはいえ駐車はNG
位置指定道路は私道であるからという理由で日常的に路上駐車をしている方がいるようですが、これは間違った行為です。
位置指定道路への駐車は駐車違反であり、車の保管場所を確保していないことになるからです。
このような住人には、まずは注意をして改善を促すことをおすすめしますが、改善しない場合は地域の方や自治体に相談する、または警察に連絡する方法があります。
他にも、位置指定道路の土地を購入する場合の注意点をお伝えしましたので、購入はよく検討してから行いましょう。