マイホームを建てるためにこれから土地を探す方もいらっしゃると思います。
しかし、土地ごとに定められている建ぺい率と容積率によっては、理想の間取の家を建てることができないかもしれません。
もし建ぺい率や容積率をオーバーするとどうなってしまうのでしょうか。
この記事では、土地の建ぺい率と容積率についてお話をしていきます。
マイホームに関する悩み!建ぺい率や容積率って何?
人生に一度の大きな買い物といえば、マイホームです。
そんなマイホームを建てる時には、いろいろなことにこだわって最高の間取りにしたいですよね。
しかし、そうそう簡単に理想の家は作れません。
家を建てる前にまずは土地を探す必要があり、その土地ごとに決まっている建ぺい率や容積率によってある程度家の形は決まってきてしまうのです。
すると、頭の中で思い描いていた間取りのままとはいかず、間取りのすり合わせや取捨選択という、大変な作業が待ち構えています。
建ぺい率や容積率とは一体何なのでしょうか。
これらをオーバーするのは、まずいことなのでしょうか。
この記事では、建ぺい率と容積率についてお話をして、なるべく広い間取りにするための工夫などをお伝えしていきます。
土地ごとに決まっている建ぺい率や容積率ってどういうもの?
はじめに、用語の意味について整理しておきましょう。
建ぺい率は、土地の敷地面積のうちどれくらいまで建物の立地面積として使えるかを指し示す値で、土地ごとに決まっています。
考え方としては、建物がある土地を上から見た時に、土地全体の敷地面積に対して建物の屋根がどれくらいの面積を占めているかで概ね算出できます。
次に容積率は、その土地に建てられている建物にある全てのフロアの床面積を合計したものが、土地全体の敷地面積に対してどれくらいの広さなのかを指し示す値です。
以上のことをわかりやすい例にすると、仮に土地の敷地面積が50坪だと仮定した場合、建ぺい率が50%であれば建物の敷地面積は50坪の50%である25坪まで許可されます。
また、容積率が150%であった場合、フロアの総面積は50坪の150%である75坪まで許可されます。
ここで、建物の敷地面積は25坪までしか許可されていませんが、総面積は75坪まで許可されていることに違和感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
容積率で認められている総面積のうち、建ぺい率で認められている敷地面積を超えた分は、2階以上の別のフロアに割り振ることができます。
つまり今回の場合は、各フロアが25坪の広さを持つ3階建ての住宅を建てることができるというわけですね。
建ぺい率と容積率は建築基準法で定められているため、規定の数値をオーバーすると問題があります。
建ぺい率・容積率のオーバーは建築基準法違反!
建ぺい率と容積率は建築基準法で定められている内容であるため、もしオーバーして違反してしまうと問題が発生します。
まず、建設の途中で違反していることがわかった場合、建設工事の中止命令が言い渡される可能性があります。
そして、もし無事に完成したとしても、居住が禁止されたりすぐさま改善工事をするように言い渡されたりするかもしれませんし、悪質な場合には取り壊しとなるかもしれません。
もちろん改善工事費用はこちらで支払わなければいけませんし、住宅ローンも利用できなくなる恐れがあります。
他にも、近隣住民との間でトラブルが発生する恐れがあります。
その理由は、建ぺい率と容積率が定められた経緯を追いながら次の項でお伝えしていきます。
建ぺい率と容積率が定められている理由
建ぺい率と容積率にはどういう意味があって、どういった理由で定められるようになったのでしょうか。
以下に挙げていきます。
■火事が起きた場合に延焼を防ぐため
建物同士の距離が近いと、火災が発生した場合に延焼しやすくなり、被害が拡大してしまいます。
そこで建ぺい率を定めることで、建物どうしの間に自然に十分な距離が開きますから、延焼を防ぎやすくなるのです。
■各戸の日照権や風通しに配慮するため
快適な生活のためには、適度に採光できたり風が通ったりする事が必要です。
建ぺい率や容積率を定めることで極端に大きい建物が建てられることを抑制し、各戸が十分に日光や風の恩恵を受けられるようにします。
■景観に配慮するため
上記の内容と同様に、極端に大きい建物が建てられないようにすることで各戸の窓から見える景観を確保します。
また、地区全体を見た時に、頭が飛び出す建物によって違和感が発生しないようにします。
■地域の人口が増えすぎることを抑制するため
地域にある上下水道などのインフラが生活を支えられる人口には限りがあります。
そこで、地域に建設できる建物の大きさを制限することによって、人口が密集してインフラのキャパシティをオーバーしにくいようにします。
以上の理由から建ぺい率と容積率は、災害が起こった場合の配慮と、地域の人々が快適に生活できるように定められたことがわかりますね。
建ぺい率と容積率をオーバーしないマイホームの間取り!
建ぺい率や容積率をオーバーすると問題だということはおわかりいただけたと思います。
しかし、なるべく広い家に住みたいというのも正直な気持ちですよね。
そこで、建築基準法に則った適法範囲内でできる限り広く感じる間取りを考えてみましょう。
家を広く感じさせてくれる間取りにするために利用したいのが、「出窓」「ロフト」「吹き抜け」です。
まず出窓ですが、窓枠を幅広にして外側に押し出したようなしつらえの窓です。
窓の前にちょっとした小物を置いたりできるスペースができますし、壁面が外側に押し出されているように見えるため、室内空間に広がりが生まれますよ。
出窓は、床から30cm以上の段差があって室内から出ている幅が50cmまでであれば、床面積に計上しませんので建ぺい率に影響しません。
続いて利用したいのは、おしゃれなイメージがあるロフトです。
ロフトは、条件を満たしていれば床面積としてカウントされません。
寝室代わりに利用したり、物置として使ったりできるので、ロフトの有無で家を広々と使えるかどうかが変わってきます。
ロフトとして認められる条件は、天井の高さが1.4m以下で、直下のフロアの半分以下の面積であり、登るためのはしごが固定されていないことです。
最後は吹き抜けです。
吹き抜けは直接的に部屋を広くするわけではありませんが、屋内に縦に広がる空間を設けられるので開放感が生まれます。
一見オーバーでも大丈夫!建ぺい率には緩和規則がある!
前項に引き続いて、建ぺい率と容積率がオーバーしないように広々とした家を作る方法をお伝えします。
ここでは、建ぺい率の緩和措置に関わる構造をご紹介します。
まずは、カーポートです。
雨の日に車の乗り降りをするのは大変なので、新築に合わせてガレージを造りたいという方もいらっしゃると思います。
しかし、ガレージは建ぺい率に影響してしまうため、住居スペースを割く必要があります。
そこでカーポートを選んでみましょう。
十分に開放性がある建築物の場合、屋根の軒先から1mの範囲は床面積として計上しなくて良いとされていますので、ガレージよりもコストを割かずに屋根付きの駐車場を作ることができます。
続いては地下室です。
地下室と、天井が地盤面から1m以下の位置にある半地下室は、家の総床面積の3分の1までの範囲で床面積として計上しなくても良いとされています。
もし地上2階地下1階でそれぞれのフロアの床面積が同じ家を立てた場合、地下室の分の面積はそっくりそのまま除外されますよ。
特に地価の高い土地では、地下室は有効に使えます。
建ぺい率と容積率は自他の快適な暮らしのためにある!
この記事では、建ぺい率と容積率についての説明をしたうえで、広々とした間取りを考えるために有用な構造についてご紹介してきました。
家のある地区全体の暮らしやすさを図るために、建築基準法によって建ぺい率と容積率が定められています。
家を建てる上での障害と捉えるのではなく、間取りを考えるうえでのガイドとしてとらえてみてはいかがでしょうか。
くれぐれもオーバーしないようにお気をつけくださいね。